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軽油店頭価格、2週連続値下がりも依然高値続く

2021年11月25日 (木)

(イメージ)

調査・データ資源エネルギー庁が25日公表した全国の軽油店頭価格(11月22日時点、1リットルあたり)は、全国平均価格が前週から0.1円下落し148.5円となった。2週連続で値下がりとなったが、依然として高値水準にあり、今後の推移から目が離せない状況が続く。

平均価格が最も高かったのは、鹿児島県の158.3円(前週比0.5円下落)。下落幅が全国で最も大きかったのは神奈川県(同1.1円下落)だった。13都道県が150円以上で、依然として高い水準が続いている。

高騰に歯止めがかからなかった原油価格は、ようやく下落傾向が見え始めた。政府が24日に決定した国家備蓄石油の一部放出は、原油価格の高騰が国民生活や物流など産業界の事業運営に影響を与えていることを考慮し、供給量を一時的に増やして価格を下げる狙いだ。しかし、有事を想定した備蓄石油の放出量は限定的で、価格下落の効果は不透明だ。

さらに不安材料なのが円相場だ。今週に入って円安傾向に拍車がかかり、1ドル115円台に突入。円安局面は原油の仕入れ値を引き上げる要素となり、政府による石油価格下落政策を打ち消す方向に働く。軽油価格が高値で張り付く状況はまだ続くとの見方が強まっている。

平常時への回復を見据えて体力を養う「雌伏」の刻

軽油価格はようやく下落局面に転じるのか。あるいはこのまま高値水準が続くのか。物流業界は、今年度下期の経営計画と見比べながら、原油価格のグラフの先を予測する日々が続いている。

(イメージ)

物流業界には、政府による国家備蓄石油の一部放出による値下がりに期待をかける。しかし、今回のOPEC(石油輸出国機構)が追加増産を見送る姿勢を崩さないなど、根本原因が解決されない状況を考慮し、軽油価格の高止まりを警戒した動きも広がり、まさに「一喜一憂」(運輸企業)の状況だ。

原油価格をめぐる攻防は、国家レベルの政治的な駆け引きが求められるべきであり、物流各社の自助努力ではどうにもならない領域だ。とはいえ、そうも言っていられないのが現場の事業者。さらなる短距離ルートの選定やアイドリング防止の徹底など地道な対策の再徹底も図りながら、価格が冷静さを取り戻すタイミングを見定めている。

こうした取り組みが、いずれ経由価格の値動きが平常化した時の「足腰の強さ」につながる。今はやはり、先を見据えて体力を養う局面だ。(編集部・清水直樹)

■都道府県別の軽油価格(単位:円)
地域11月15日11月22日増減
北海道151.1150.9-0.2
青森146.8146.4-0.4
岩手144.7144.70.0
宮城145.0145.00.0
秋田148.0147.9-0.1
山形156.1156.20.1
福島149.6149.1-0.5
茨城143.7143.80.1
栃木145.0145.00.0
群馬149.8149.5-0.3
埼玉142.1141.6-0.5
千葉145.2144.8-0.4
東京151.1151.0-0.1
神奈川144.0142.9-1.1
新潟149.0149.10.1
長野156.2156.20.0
山梨149.7149.4-0.3
静岡149.0148.8-0.2
愛知145.6145.0-0.6
岐阜148.4148.3-0.1
三重147.3147.1-0.2
富山151.2150.9-0.3
石川147.7147.80.1
福井148.4148.1-0.3
滋賀149.0148.9-0.1
京都149.8149.80.0
奈良145.5145.0-0.5
大阪148.4148.1-0.3
兵庫144.5144.90.4
和歌山146.1146.30.2
鳥取152.8153.10.3
島根149.9150.10.2
岡山145.3145.40.1
広島149.6149.5-0.1
山口148.3148.30.0
徳島142.0141.8-0.2
香川146.7146.5-0.2
愛媛147.4147.3-0.1
高知152.7152.90.2
福岡145.2145.20.0
佐賀149.1148.9-0.2
長崎157.1157.50.4
熊本145.2145.50.3
大分151.0151.10.1
宮崎150.8150.7-0.1
鹿児島158.8158.3-0.5
沖縄153.9153.90.0
全国148.6148.5-0.1