サービス・商品イデアロジー(東京都新宿区)は22日、オンラインで物流不動産の検索から契約までを完結できるサービスプラットフォーム「ア・ソコ」の運用を来年1月26日に開始する、と発表した。
このサービスは、物流施設を借りたいユーザー企業と貸したいオーナー企業をつなぐプラットフォームで、全国の大型賃貸物流施設1000物件超を地図上でデータベース化し、ユーザー向けに最適な物件をAIが提案する機能や、比較分析レポート、オンライン契約などの提供をカバー。
オンライン契約は2022年5月に施行されるデジタル改革関連法に対応、物件検索から契約締結までのプロセスを6つの体系に標準化することで、ユーザーとオーナーがオンライン上で効率良く物流施設を貸し借りできるようにする。
サービスを利用するためには会員登録(無料)が必要で、物流施設のユーザーは利用料金が不要。オーナーは一部機能を除いて有料となる。転貸、寄託物件の募集とマッチングサービスは22年4月から開始する。
マッチングサービス「全盛期」の到来を実感、物流各社はその潮流を把握すべし
物流業界でここ数年、急速に広がり始めたビジネススタイルの一つは、間違いなく「マッチング」だろう。物流仲介業者「水屋」をルーツとする求荷求車サービスはもちろん、最近ではパレットなどの物流資材や各種物流向けロボットまでが対象になっている。そして、ついに物流施設そのもののをマッチングするプラットフォームが登場することになった。まさに物流業界におけるマッチングの「全盛期」を迎えようとしている。
このプラットフォームを開発したイデアロジーは、転貸や寄託物件の募集やマッチングサービスにも進出するというから驚きだ。LOGISTICS TODAYがことし10月に物流企業や荷主企業を中心とする読者に対して実施した「求荷求車・マッチングサービス」に関する実態ニーズ調査では、既存のこうしたサービスが抱える課題について、取引相手との信頼性構築への不安や運営会社への不信感が根強い傾向が浮かんだ。
相手と直接介さないままに業務の契約を結ぶことへのためらいもあるようだが、サービスを提供する側による、こうした不信感を緩和する取り組みもあって、一定の「市民権」を獲得した感もある。こうした事情が、最近の急速なマッチングサービスの広がりを後押ししているのは確かだ。
もちろん、利用する側には、的確な判断基準を持ったうえでサービスを活用する必要があるのは言うまでもない。相互の信頼に裏付けられたサービスだからこそ、それぞれの提示条件を冷静に見極める眼力が求められるのだ。それが担保されるまでの壁を乗り越えた今となっては、マッチングサービスの対象は等比級数的に広がっていくだろう。
物流業務には、固有のノウハウの結集した業務が存在する一方で、汎用性の高い領域も少なくない。こうした汎用部分でのマッチングサービスによる業務効率化は、「新しい生活様式」の時代にはスタンダードになる可能性は十分にある。物流各社はこうした潮流をしっかりと把握すべきだろう。(編集部・清水直樹)