荷主オカムラは24日、物流現場におけるAI(人工知能)搭載ロボットと遠隔操作技術を組み合わせたピッキング作業の自動化を実現する「PROGRESS ONE」(プログレスワン)の事業化に向けた取り組みを始めると発表した。
ピッキング自動化とともに、遠隔操作による場所と時間にとらわれない新しい働き方を創造することで、物流現場における業務のさらなる効率化・最適化、さらには就労環境の改革にも貢献できる技術開発を加速する契機とする。
PROGRESS ONEは、AI搭載ロボットによる自律ピッキングとともに、人間が倉庫から離れた場所でロボットを操作して遠隔でピッキング作業を行う「ハイブリッド型」の物流自動化ソリューションと位置付ける。AI搭載ロボットと人間の遠隔操作の両方でピッキング作業を手がけることで、物流現場の自動化・省力化を実現する。同時に、時間や場所、身体などの制約により物流現場での就労が困難な働き手への新たな雇用機会の創出にもつなげる。
オカムラは、PROGRESS ONEに活用するAI搭載ロボットと遠隔操作に活用するプラットフォームの開発を進めている。2022年度に物流現場での実証実験を開始し、23年度以降にサービスを提供する方針だ。
物流現場の究極の「革新」に向けて着実な歩みを続けるオカムラ
ノルウェー生まれの自動倉庫型ピッキングシステム「AutoStore」(オートストア)の展開で物流業界に広くその名を知られるオカムラが、ピッキング作業の自動化に注力する戦略を明らかにした。
AIと遠隔操作技術を組み合わせる新手法で、自動ピッキングシステムにおける市場で圧倒的な差別化を図るほか、遠隔操作プラットフォームの構築により物流現場の「無人化」の実現につなげる、物流現場の業務改革を究極の水準まで追求する壮大な取り組みが始まった。
オカムラは、ことし3月9日に開幕する世界最大規模のロボット専門展示会「2022国際ロボット展」でAI搭載ロボットと遠隔操作技術の実機展示とデモンストレーションを予定する。オカムラは自社開発でこうした機器の開発を進めるが、協業パートナーとの連携も模索しており、最先端技術の注入による機能強化も想定しているとみられる。
オカムラはAutoStoreの市場展開に着手して以来、こうした物流現場の無人化を意識した技術開発やソリューション展開を推進してきた。ことし1月19日から3日間開催された「第1回スマート物流EXPO」の出展ブースで、オカムラは自動ピッキング機能を持つロボットピースピッキングシステムを披露するなど、倉庫内業務の「支援」から「自動化」、さらに「無人化」へと着実にステップを進めている。
「物流現場の働き方を変える」明確なビジョンを掲げているオカムラは、今や物流業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)化の旗手として、最も近未来のロジスティクスの現場を明確に描いているプレーヤーであろう。(編集部・清水直樹)