イベントオカムラは3月1日、物流現場におけるAI(人工知能)搭載ロボットと遠隔操作技術を組み合わせたピッキング作業の自動化を実現する「PROGRESS ONE」(プログレスワン)のシステムのプロトタイプを、東京ビッグサイトで3月9日から4日間開催される「2022国際ロボット展」で披露すると発表した。
オカムラは今回の見本市で、双腕のピッキングロボットと遠隔操作システム、機械学習を備えた自社開発のAIで構成するシステムをデモンストレーションで紹介する。
オカムラはPROGRESS ONEを、AI搭載ロボットによる自律ピッキングとともに、人間が倉庫から離れた場所でロボットを操作して遠隔でピッキング作業を行う「ハイブリッド型」の物流自動化ソリューションと位置付ける。AI搭載ロボットと人間の遠隔操作の両方でピッキング作業を手がけることで、物流現場の自動化・省力化を実現する。同時に、時間や場所、身体などの制約により物流現場での就労が困難な働き手への新たな雇用機会の創出にもつなげる。
オカムラは、PROGRESS ONEに活用するAI搭載ロボットと遠隔操作に活用するプラットフォームの開発を進めている。22年度に物流現場での実証実験を開始し、23年度以降にサービスを提供する方針だ。
双腕ピッキングロボットのプロトタイプは、吸着と多指ハンドをピッキング対象に合わせて使い分けることができるのが特徴。両腕を使うことで、ふた付きの箱など単腕のロボットでは難しい対象物をつかみ上げることも可能だ。深さのあるコンテナでも垂直方向に奥までつかめるアーム構造としている。
遠隔操作システムは、自律ピッキングができず自律動作からオペレーターによる遠隔操作に切り替える際に、ロボットとオペレーターをマッチングして接続する仕組みだ。一人のオペレーターで不特定多数のロボットを遠隔で操作することができる。マッチング後にオペレーターは、対象物をマウスで指示する「対象物指定モード」で操作する。
ロボットの自律ピッキングとオペレーターによる遠隔操作の動作データは、クラウド上のグローバル学習サーバーに集約され、継続的に機械学習を行うことでAIが認識できる対象物を拡充し、作業効率が高まる。