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NEC、リスク制御で生産性2倍の配送ロボット開発

2022年1月28日 (金)

荷主NECは27日、ロボットによる倉庫内での搬送作業について、高い安全性を維持しながら従来比で効率を2倍に高める制御技術の開発した。2023年度に実用化し、NECの協調搬送ロボットに搭載する予定だ。

消費スタイルの多様化や新型コロナウイルス感染拡大に伴う宅配ニーズの高まりなどを受けて物流現場では物量が急増。人手不足の顕在化や倉庫の大型化への対応を目的に、搬送作業へのロボットの導入が加速している。

しかし、搬送作業の自動化のためにロボットを導入しても、安全性確保のために走行速度を抑える必要があり、搬送効率や生産性の向上に必ずしもつながっていない課題がある。さらに、走行の高速化には安全性確保のための搬送ロボット専用通路・エリアを整備する必要があり、既存倉庫への導入は困難なのが実情だ。

NECは、センサーの測定誤差や、ロボットにおけるシミュレーション結果と実動の差など、ロボット制御における不確かな要素を表現できるモデルと、数理ファイナンスの手法を活用して安全性リスクに応じてロボットを制御するリスクセンシティブ確率制御技術を開発した。

作業者や床上の物品などの障害物がなくリスクが低い場所では最短距離を高速走行し、リスクが高い場所では確実に回避できる経路を低速走行するなど、ロボットが自律的に判断。リスクセンシティブ確率制御技術を適用したロボットと従来のロボットで搬送作業を比較したところ、作業時間が半分となり、安全性を確保しながら搬送効率を2倍向上できることを確認した。ロボット専用エリアを整備しなくても安全性と効率性を実現できるため、既存倉庫への導入も容易だ。

▲開発した搬送ロボットの制御技術の概要(出所:NEC)

NECは今回のリスクセンシティブ確率制御技術の開発を契機として、現場での実証実験を通じてさらなる新技術の創造を推進するとともに、協調搬送ロボットへの早期搭載を目指す。

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