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ESR横浜幸浦に日本初採用のトルコ製免震構造

2022年2月3日 (木)

▲建設途中のDC2であらわになったPC部材を用いた梁(バスの車窓から撮影)

拠点・施設ESR(東京都港区)は3日、横浜市金沢区に先月末完成した第1期棟「ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター1」(横浜幸浦DC1)の内覧会をメディア向けに行った。スチュアート・ギブソン社長は同日開かれた記者会見で、自然と共生し、安心できる物流空間の実現に向けて設計されている横浜幸浦DCの理念に触れ「働く人たちや、地域の人たちとも、一体となったコミュニティーを作っていきたい」と期待を込めた。

内覧会には同社長のほか、建築や設計に携わった関係者らが参加し、地上4階建ての免震構造のマルチテナント型物流施設である横浜幸浦DCの特徴をメディア向けに説明。免震構造の要となる上部躯体の大梁・小梁には、新型コロナウイルス禍による国内工場での部材供給がひっ迫するなか、トルコ製のプレストレストコンクリート(PC)部材を調達したことを明らかにした。日本では初めての採用だという。

同社などによるとPC部材は常に、コンクリートを圧縮状態に保つことを可能とするため、鉄筋コンクリートの弱点である、外力によってひっぱられるという材料内に生じる「引張応力」によるひび割れの発生を未然に防ぐことができる。ひび割れが発生しないことで、コンクリートの耐久性が大幅にアップする。このため、大震災が起きても操業度を落とさず、早期復旧が図れるため、建物使用者の事業継続性を高めることができるという。

▲免震構造で、地震時も揺れを少なくすることができる

内覧会には、PC部材の開発者や工場関係者もトルコからリモート中継で参加。世界でも記憶に新しい2011年10月にトルコ東部で起きたマグニチュード7.2という壊滅的な被害を受けた巨大地震をはじめ、たびたび地震に見舞われてきた日本と共通する環境が、開発の経緯になったことを明かした。また、コロナ禍による入国制限で、日本の現場での作業ができないなか、最先端の技術を取り入れながら、リモートでPC部材を組み立てていった様子がプレゼンテーションされた。

その後、設計責任者である同社の武田諭シニアディレクター コンストラクションヘッドの案内で、9万平方メートルにわたる横浜幸浦DC内の敷地が披露された。

倉庫内や再生された森や公園、ラウンジ、託児所、女性用トイレに併設されたパウダールームといった施設のほか、来年1月完成予定で現在建設が進んでいるの第2期棟「ECR横浜幸浦DC2」からは、むき出しになったPC部材が確認できた。

▲PC部材の鉄筋が組み立てられている様子

▲最上階の倉庫を案内する武田氏

▲女性用パウダールーム

▲ラウンジ

▲トルコからコンテナで運ばれてきたPC部材の待機場(バスの車窓から撮影)

▲産業遺構として保存されることになったガントリークレーン。ライトアップされるほか、地域の人たちにも開放して親しんでもらうという(バスの車窓から撮影)

▲再生された公園

▲スカイデッキからの眺め。港やランドマークタワーが見渡せるほか、夏にはバーベキューなどを開催し、テナント企業同士の交流の場としても期待できるという

▲抱負を語る社長