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第4報、18日9時現在

福島県沖地震、貨物列車の運行を順次再開

2022年3月18日 (金)

国内3月16日夜に発生した福島県沖を震源とする最大震度6強の地震は、物流への影響が依然として続いているものの、発生から1日半が経過して正常化に向けて動き出している。高速道路や鉄道などの交通インフラが、管理者による安全確認が進み、通行止め区間が段階的に縮小してきているためだ。とはいえ、今回の地震による影響を見きわめるには今しばらく時間がかかる見通しなのも実態で、余震への警戒とともに気の抜けない状況に変わりはない。

■高速道路の通行止めは順次縮小

▲黒塗り区間が通行止め(出所:ハイウェイ交通情報、18日9時25分現在)

18日9時時点における高速道路の通行止め区間は、常磐自動車道の南相馬インターチェンジ(IC)・新地IC間の上下線のみとなっており、18日中には通行できるようになる見通し。常磐道では、地震発生に伴い路面の段差やクラック、遮音壁などの付属物の倒壊が50件発生していたが、急ピッチで復旧作業を進めている。

東北道では宮城県白石市内の下り線で、50メートルにわたり地面のひび割れが発生したが、既に復旧。海外からも日本の土木技術を称賛するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の投稿が相次いだ。

■陸運各社の集配に影響

宅配サービスへの影響も続いている。ヤマト運輸(東京都中央区)は、半日程度の遅れ全国から東北6県(青森、秋田、岩手、宮城、山形、福島)あて、東北から全国あての荷物で半日程度の遅れが発生していると発表した。関東(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川)・山梨県から北海道・九州あての荷物、静岡県から北海道あての荷物についても、半日から1日程度の遅れが発生する見込みという。

佐川急便(京都市南区)も、北海道と東北6県で一部の荷物で配送の遅延が発生する可能性があるとしている。日本郵便も、北海道と東北6県で引き受けまたは配達となる郵便物・ゆうパックなどの配送で一部遅れが発生しているほか、停電により茨城県・東京都で引き受けまたは配達となる郵便物・ゆうパックなど一部の配達が遅れる可能性もあるという。

西濃運輸(岐阜県大垣市)は、関西行きの「ライナー便」の運行ダイヤが大幅に乱れていることを明らかにした。関西以西への配送については、配達の遅れが予想されるという。18日の関西行き「ライナー便」は運休の予定となっており、「可能な限りトラック便での輸送に切り替えて対応する」としている。

北陸甲信越地方に本拠を置く新潟運輸(新潟市中央区)、トナミ運輸(富山県高岡市)なども東北6県における荷物の輸配送に遅延が発生していると報じている。

■鉄道貨物への影響広がる

東日本旅客鉄道(JR東日本)の在来線は、東北線が黒磯駅・新白河駅間と郡山駅・白石駅間の上下線で運転を見合わせている。常磐線は広野駅・山下駅間をのぞいて18日始発までに運転を再開。しかし、一部区間で速度を落として運転しているほか、福島駅構内における信号点検などの影響もあり、ダイヤの乱れは続いている。貨物輸送の平常化とともに東北新幹線の運転見合わせが長期化すると見通しから、在来線の再開への期待は大きい。

日本貨物鉄道(JR貨物)は、東北線の不通の影響で停止していた貨物列車の運行を順次再開している。ほぼ1日遅れとなっているものの、運行再開は明るい材料だ。とはいえ、通常の運行密度を維持するのは難しい状況が当面続く見通しで、折り返し運転や運休が発生する可能性もある。

なお、東北新幹線は福島駅・白石蔵王駅間で「やまびこ223号」が脱線したほか、架線が傾くなどの被害も確認されており、JR東日本は17日の記者会見で「福島駅・仙台駅間の3月中の再開は困難」との見方を示した。

■港湾への影響
17日13時現在、仙台塩釜港でコンテナターミナルは稼働中だが、蔵置コンテナにズレが生じている模様。RORO船への運航に影響はなし。フェリーへの影響は調査中としている。