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ピッキングの無線システムに長寿命電池、シャープ

2022年4月7日 (木)

(イメージ、出所:シャープ)

サービス・商品シャープは7日、物流倉庫や工場でのピッキング作業で使う無線システムの新製品を開発し、受注を始めたと発表した。

商品のピッキングや仕分けの際に、保管棚に設置したデジタル表示器のランプを点灯させて、作業者を誘導する作業支援システムだ。

従来製品と違い、デジタル表示器に内蔵電池と太陽電池を併用したことで最長5年間の長寿命を実現。Sub-GHz帯の周波数を使用し、無線LAN(2.4GHz/5GHz)との電波干渉がなく、高速かつ安定した通信が可能なのが特徴だ。

無線通信のため配線の手間が抑えられるほか、生産ラインの変更や保管棚のレイアウト変更にも柔軟に対応できる。デジタル表示器は、台車やカゴ車、搬送ロボットなど移動体への設置も可能。さらに、ピッキングの正誤を音や光、振動で伝えるハンドリーダー(オプション)と組み合わせることで、人為的ミスを抑えられる。

シャープは受注開始に先立ち、開発に協力したトヨタ自動車の高岡工場(愛知県豊田市)に先行納入している。

シャープ、「物流」を注力分野と位置付けDX化支援機器の開発強化も

物流事業者が業務効率化に注力したい領域の一つが、倉庫におけるピッキング業務だ。注文書に従って、倉庫内にある品物を決まった数だけ集める作業。梱包したり発送したりするための準備をする大切な工程でもある。倉庫内でも多くの従業員が携わるプロセスであり、一日中立ち続けての作業は大きな負担だ。

こうした事情から、ピッキング業務の効率化を支援するロボットなど先進機器・システムの開発が相次いでいる。参入企業はITから電機、ソフトウェア開発まで幅広い。ビジネス機会獲得への期待の高さを物語る。

(イメージ)

シャープがピッキング作業向け無線システムの製品化に踏み切ったのも、こうした物流関連市場への参入に活路を見出そうとしているからだ。シャープは物流関連ビジネスを、強みとするAV機器や電池の開発ノウハウを活用した新事業領域と位置付けることで、今後も物流DX(デジタルトランスフォーメーション)化を支援する先進機器の開発を強化していく可能性もある。発想力と技術力に定評のある企業だけに、今後の製品展開に注目だ。(編集部・東直人、清水直樹)