調査・データロシアのウクライナ侵攻からまもなく3か月。日本企業がロシアビジネスから撤退する動きは進出企業の4割に及ぶが、ここに来て撤退ペースが鈍化している。帝国データバンク(TDB)が19日発表した調査結果で分かったもので、全面撤退が相次ぐ欧米企業との温度差が現れてきたという。
国内上場企業の中で、何らかの形でロシア進出が確認できたのはことし2月時点で168社あった。その後、5月17日までに4割にあたる71社がロシア事業の停止や制限・撤退を表明した。時系列で見ると、3月15日時点までに表明したのが37社、その後4月11日までの約1か月で23社、5月17日までが11社と減ってきている。また、「完全撤退」を明言した企業は4月時点では3社あったが、5月は現時点でゼロとなっている。
撤退を表明しなくても、新規投資の打ち切りや事業所閉鎖など事実上の撤退と解釈できる動きも複数ある。一方、受注残といった理由や、将来再進出する場合の負担を懸念して事業を当面継続する企業もあるという。総じて日本企業の「脱ロシア」の動きは鈍化しているようで、多額の損失覚悟で「全面撤退」を表明する欧米企業との温度差が鮮明となっている。
TDBは撤退の理由についても調査しており、日本企業はサプライチェーン面の混乱を挙げる企業が多いという。今後はレピュテーションリスク(社会的評判・ブランドイメージ棄損)を理由に「脱ロシア」を迫られる企業も、特に海外シェアが大きい企業を中心に増えると見ている。
調査の対象は、ロシア国内に工場や事業所などを置いていたり、直接出資などで関連会社を持っていたりしていることがことし2月時点で判明した上場企業168社。
■調査結果詳細(PDF)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220507.pdf