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日本自動車ターミナル、東京・足立で低温倉庫開発

2022年5月26日 (木)

拠点・施設日本自動車ターミナル(東京都千代田区)が、東京都足立区で冷凍冷蔵倉庫を2024年秋に完成させる計画を進めている。公共トラックターミナルを展開するとともに、近年は物流施設の開発に注力する日本自動車ターミナルが、需要の急速に高まる低温倉庫ビジネスに本格参入する。東京都心をはじめとする大消費地に近接した好立地を強みに、入居企業を募集中だ。

日本自動車ターミナルが開発する冷凍冷蔵倉庫は、足立区など東京都北東部や隣接する埼玉県川口市や草加市、八潮市へ車で30分圏内に位置し、「足立トラックターミナル」にも近い好立地。ラストワンマイル配送におけるリードタイム短縮効果が期待できる。首都高速道路川口線や都道「環状7号線」などの幹線道路に近接するほか、都営日暮里・舎人ライナー「舎人駅」を最寄駅とする公共交通機関のアクセスにも優れる。周辺には住宅地も多いことから、従業員確保の観点からも優位性が高い。

今回開発する物流施設は、冷凍冷蔵倉庫としての利用を想定。ただし、常温倉庫としての利用も可能であり、幅広い用途における貨物の保管や配送が可能な汎用性の高い仕様とする。

日本自動車ターミナルが冷凍冷蔵倉庫に着目する狙いは、食品の宅配など冷凍冷蔵輸送ニーズの急速な拡大だ。新型コロナウイルス感染拡大などを契機とした消費スタイルの多様化で、EC(電子商取引)サイトなどによる宅配サービスの普及が進んでいる。日本自動車ターミナルは、こうした「新しい生活様式」の時代の本格的な到来を見据えて、特に消費地の近くで待望論が強い冷凍冷蔵倉庫の開発による物流施設ビジネスの拡大を図る思惑がある。足立トラックターミナルとの連携による効果も狙いだ。

日本自動車ターミナルは、東京都や日本政策投資銀行、物流企業などが出資。京浜(大田区)▽足立(足立区)▽板橋(板橋区)▽葛西(江戸川区)――の東京都内4か所に公共トラックターミナルを設置し、東京と地方を結ぶ都市間輸送の結節点としての機能を果たしている。

その日本自動車ターミナルが公共トラックターミナル運営に続く第2の事業の柱と位置付けるのが、物流施設開発だ。なかでも物流業界で話題となったのが、18年7月に完成した京浜トラックターミナル内の「JMT京浜ダイナベース」だ。東京湾岸エリアで延床面積9万7000平方メートルの大規模施設は完成を待たずに契約済みとなる人気ぶりだった。さらに、板橋トラックターミナルでも5万平方メートルの物流施設開発用地を創出し、25年度以降に基本計画を策定する予定。延床面積は15万平方メートルと東京都内で最大級の規模の施設が誕生する壮大な計画だ。

日本自動車ターミナルの「足立入谷冷凍冷蔵倉庫」の概要
所在地:東京都足立区入谷6-2-10
敷地面積:1000平方メートル(303坪)
延床面積:2857平方メートル(864坪)
構造:鉄骨造、5階建て
交通:首都高速道路川口線「足立入谷出入口」1.2キロ、都営日暮里・舎人ライナー「舎人駅」徒歩14分

【物件の問い合わせ】
https://www.logi-today.com/jmt-iriya


「公共トラックターミナル」ならではのノウハウを冷凍冷蔵倉庫開発に注入できるか、注目だ

日本自動車ターミナルが、東京都足立区に冷凍冷蔵倉庫を整備することになった。冷凍冷蔵輸送ニーズの拡大が今後も継続すると判断し、ビジネスチャンス拡大の好機と捉えた。もちろん、公共トラックターミナルの開発・運営で培った物流ノウハウも取り入れていくことになるだろう。東京都心に近い絶好の立地を生かすとともに、新たな付加価値の創出も期待したいところだ。

東京都内における冷凍冷蔵倉庫に期待されるのは、まずはラストワンマイル配送拠点としての機能だ。その意味で、食品メーカーの拠点が多く立地する埼玉県南部エリアと、大消費地である都心部、さらに住宅地が集まる東京都北東部から埼玉県にかけての一帯は、ラストワンマイル配送拠点として極めて優位性が高いと言えるだろう。

郊外型の物流施設と比べてやや小ぶりだが、配送拠点として目的を明確にするならば、コンパクトな使いやすさを前面に出した訴求も可能ではないか。

東京都内で公共トラックターミナルを運営してきた日本自動車ターミナルならではの、東京都内における物流ネットワークにおける豊富な知見。さらに既存の公共トラックターミナルとの連携策の提案。他の物流施設開発事業者とは一味違う強みを訴求できるメリットもある。足立入谷の冷凍冷蔵倉庫開発でそれがどこまで反映されるのか、それも注目点になる。(編集部・清水直樹)