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「第3回関西物流展」注目ポイントはここだ/第5回

2022年6月17日 (金)

話題LOGISTICS TODAYが「第3回関西物流展」の見どころを製品・技術・サービスごとに解説する開幕直前企画。第5回(最終回)は「物流業務支援サービス」のテーマに迫るとともに、今回初めての試みである同時開催の見本市「第1回マテハン・物流機器開発展」の参加ブースにも着目する。

第1回「搬送/仕分け/ピッキング」「パレット・コンテナ/保管機器」
第2回「保管・輸送・3PL」「AI/倉庫管理/AI・IoT/情報システム」
第3回「産業・運搬車両/関連機器・ソフトウェア」「梱包・包装」
第4回「物流施設・不動産/建設/誘致」「防犯・防災/リスク対策/BCP推進」

テーマ9「物流業務支援サービス」

社会に不可欠なインフラとして認知されている物流。国民からの信頼感の高まりとともに、さらなる輸送品質の向上の要請も強まるばかりだ。人手不足やデジタル化の遅れといった構造的な問題を抱える物流現場は、もはや自助努力の限界を迎えているといっても過言ではない。

物流現場が抱える課題は、実に幅広い。現場を支える人材、就業環境の改善、安全・法令順守に必要な教育。「物流を止めない」現場を維持していくには、こうした多岐にわたる課題の改善・解決が欠かせない。

(イメージ)

関西物流展では、こうした物流現場における諸課題を解決に導く様々なサービスを提案する。倉庫など構内搬送作業用フォークリフト作業者向けミスト噴霧装置、倉庫内の暑熱対策空調機器など現場における就労環境の改善支援機器・システムを訴求するブースが並ぶほか、IT点呼や配送ルート最適化にかかるサービスなど、輸配送業務の効率化によるドライバーの負担軽減策を提示する企業も目立つ。

なかでも、今回の関西物流展でひときわ注目を集めそうなのが、物流人材の採用にかかるサービスだ。物流業界では、トラック運転手をはじめとする人手不足が深刻な問題になっている。人手不足はドライバーだけでなく倉庫など幅広い業務で顕著となっており、少人数で増加する荷物を取り扱わなければならないことから、必然的に長時間就労が常態化。結果として若年層を中心に離職が進んでさらに人手が足りなくなるという悪循環に陥っている。

人手不足に現場従事者の高齢化の加速、そこに増え続ける荷物。こうした負のサイクルを抑止できる方策として、トラックドライバーなど物流に特化した人材サービスが注目を集めているのだ。

ある運送会社の人事担当者は「物流業界のなかでの転職需要は意外に多い。問題は、一つの会社にとどまれない人材が多いことだ」と指摘する。仕事そのものへの不満よりも、就労条件や待遇面でのミスマッチが定着を阻んでいる実態もあるという。

関西物流展では、物流業界にターゲットをしぼった専門的な人材発掘を得意とする企業が独自のノウハウや実績を生かしたサービスを訴求。「物流の2024年問題」も見据えて、人事政策に頭を抱える担当者が問題解決のヒントを獲得する好機になる可能性もある。

テーマ10「第1回マテハン・物流機器開発展」

開催物流展は3回目の開催を機に、新機軸を打ち出す。マテリアルハンドリング(マテハン)や各種物流機器の設計や製造にかかる部品や機械、サービスを紹介する「マテハン・物流機器開発展」をスタート。マテハンや物流機器のメーカーとサプライヤーによる研究・開発面での提携やライセンス契約などを促す。部品メーカーが多い関西圏の見本市ならではの趣向でもある。

関西物流展は、先進機器やサービスの商談の場として開催してきた。しかし、出展ブースで繰り広げられるテーマは、必ずしも商談だけではないことがわかってきた。機器と部品のメーカー同士でのシステム開発に向けた提携やライセンス契約の締結など、技術面で連携する機会にもなっている。

(イメージ)

「それならば、こうしたマテハンや機器の設計・製造にかかる部品やサービスに特化した展示会を独立して開催することで、出展者と来場者の双方が対話の目的を明確化できるのではないか」。展示会事務局の岩本匡史・営業企画部長は、マテハン・物流機器開発展を開催する意義をこう語る。

初回となる今年のマテハン・物流機器開発展は、8社が参加するやや小振りのスタートとなった。とはいえ、ラベリングシステムや金型設計、ロボットなど向け断線しにくいケーブル、スイッチ・センサーの省配線化、不織布製品など、主にハードウェアを対象とした関連部材や周辺システムを提供。物流関連の見本市では珍しい、機器に焦点を合わせたユニークな雰囲気を醸し出すコーナーとなりそうだ。

とはいえ、マテハン・物流機器開発展は完全に分離した展示会とするのではなく、関西物流展の会場の一区画がマテハン・物流機器開発展となるイメージだ。仕切りを設けるなどの仕掛けはしない。むしろ、方向性の異なる両方の展示会が相乗効果を生み出すことで、新たな展示会の価値を創出する試験的な色彩も強い。

今回で3回目を迎えた関西物流展。関西圏を中心に西日本エリアの物流関連企業が独自の技術やサービスを訴求できる機会として始まった見本市も、EC(電子商取引)サービスの普及や新型コロナウイルス禍などを背景とした物流業界における地殻変動を受けて、その役割は変化を遂げている。今回はどんな物流の「あるべき姿」を発信するのか。物流に携わる各方面からの熱い視線が集まるなかで、6月22日の開幕を迎える。

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