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「第3回関西物流展」注目ポイントはここだ/第2回

2022年6月14日 (火)

話題LOGISTICS TODAYが「第3回関西物流展」の見どころを製品・技術・サービスごとに解説する開幕直前企画。第2回は「保管・輸送・3PL」「AI/倉庫管理/AI・IoT/情報システム」の2テーマに迫る。

第1回「搬送/仕分け/ピッキング」「パレット・コンテナ/保管機器」
第3回「産業・運搬車両/関連機器・ソフトウェア」「梱包・包装」
第4回「物流施設・不動産/建設/誘致」「防犯・防災/リスク対策/BCP推進」
第5回「物流業務支援サービス」「第1回マテハン・物流機器開発展」

テーマ3「保管・輸送・3PL」

サプライチェーンをいかにスムーズに機能させるか。荷主企業が期待を寄せる最大のポイントは、やはり荷物の「保管」「輸送」にかかる機能だろう。ロジスティクスサービスを展開する事業者は、倉庫運営と庫内作業、さらに輸送業務を組み合わせた「運ぶ」仕事で、差別化の訴求にしのぎを削っている。関西物流展は、まさにこうしたサービスの差別化ポイントを競い合う舞台にもなりそうだ。

ロジスティクス領域でここまでサービス競争が激しさを増している要素は何か。その背景には、大きく2つの要因があるようだ。

(イメージ)

まずは、国内で強まる輸送品質の要請だ。EC(電子商取引)サービスが普及してきたところに、新型コロナウイルス禍による外出自粛で宅配ニーズが急速に拡大。国民の購買スタイルは、店舗からECへのシフトが一気に進んだ。とはいえ、未だに国内のEC化率(全商取引のうちEC市場で取引される割合)は依然として世界でも高い水準ではない。

それは裏を返せば、将来の拡大余地が大きいことを意味する。「新しい生活様式」の時代を見据えて、ロジスティクス事業者は今後さらにECサービスの浸透が加速するとみているのも当然だろう。その結果として、サプライチェーンで担う物量は今後も増え続けることになる。

さらにEC関連物流の特徴は、その輸送ネットワークが全国規模で展開されることだ。幹線輸送が存在する一方で、地域内輸送を重視した輸送体系が中心だった国内のロジスティクスサービスは、ECサービスの普及で一変した。しかも求められる輸送品質は極めて高水準だ。短納期の日時指定配送はその代表例だ。

近年は、こうしたEC物流以外にも冷凍・冷蔵機能のある低温倉庫や危険物倉庫など、より付加価値の高い輸送ニーズが高まっている。さらに、環境負荷低減を目的としたモーダルシフトの機運の高まりで、鉄道や船舶など多様な輸送モードの提供も求められるようになっている。「世界随一の日本品質」を誇る国内ロジスティクス事業者の使命感が試されることになる。

もう一つの要因は、国際物流サービスの進化だ。コロナ禍による国際海上輸送の混乱はもはや説明するまでもないが、ウクライナ情勢の長期化も考慮して、安定した輸送サービスがこれまで以上に強く求められそうだ。

輸出入通関や倉庫保管、国内輸送を組み合わせた一気通貫のサービスや、独自のルート開拓による安定的な輸送網など、事業者は途絶させない輸出入業務の支援策の提供に知恵を絞っている。関西物流展では、倉庫や海運、3PLなど幅広い事業者が独自のサービスを訴求し、荷主企業の不安や課題の解消につなげようと躍起だ。

テーマ4「AI/倉庫管理/AI・IoT/情報システム」

物流DX(デジタルトランスフォーメーション)化が叫ばれて久しい。物流現場における物量増や少子高齢化による人手不足に対応するため、先進機器・システムを導入することで業務の効率化や省人化を促すというものだ。とりわけ、倉庫内作業におけるDX化は、政府を巻き込んだ産業界における重要課題として認識されている。

こうしたDX化の旗手ともいうべき存在が、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用した先進システムによる倉庫運営だ。

物流DX化が注目を集め始めた2010年代後半は、いわゆる「物流ロボット」が注目され始めた時期だ。人間の担う仕事をロボットに任せることで、人手不足や荷役など作業負担を軽減できる画期的な技術として、物流現場への導入が始まった。しかし大きな期待を受けて登場したロボットは、現場業務の効率化・最適化に必ずしも貢献するものではない現実に直面することになる。

なぜか。その一因として指摘できるとすれば、物流現場における不適切な「課題認識」にあったのは間違いないだろう。例えば、ピッキング作業の負担軽減のために自動化機器を導入したものの、倉庫内の他のプロセスとの呼吸が合わずに荷物が滞留してしまった。そんな事例が目立ち始めたのだ。

現場担当者の課題認識は、端緒が間違っていたわけではないのだろう。しかし、課題の「真因」を把握しない限り、こうした誤ったDX化を避けることは難しい。そこで、DX化の真髄として求められるようになったのが、AIやIoTによるシステムとロボットを組み合わせて倉庫内の全体運営を統一する発想だ。

関西物流展では、この領域ほどバラエティに富んだ業種の企業がブースを並べるコーナーはないだろう。物流現場におけるDX化にビジネスチャンスを見出す企業が、ジャンルを超えて相次いで参入していることが実感できる。物流ビジネスの裾野の広さを体感するのであれば、この領域のブースをめぐるのが一番だ。

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