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「第3回関西物流展」注目ポイントはここだ/第1回

2022年6月13日 (月)

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イベント大阪市住之江区のインテックス大阪を会場に、6月22日から3日間の日程で開催される「第3回関西物流展」。物流業界の「最先端」「生産性向上」「環境改善」につながる製品・技術・サービスが結集。「新しい生活様式」の時代を見据えて社会における「物流」の存在感が増すなかで、国内で有数の物流関連見本市である関西物流展への注目もますます高まってきている。

LOGISTICS TODAYは開幕直前企画として、今回の関西物流展の見どころを製品・技術・サービスごとに解説。同時開催の新たな見本市「第1回マテハン・物流機器開発展」を含めた10テーマについて、順番に2テーマずつ5日間連続で紹介する。第1回は「搬送/仕分け/ピッキング」「パレット・コンテナ/保管機器」の2テーマに迫る。

第2回「保管・輸送・3PL」「AI/倉庫管理/AI・IoT/情報システム」
第3回「産業・運搬車両/関連機器・ソフトウェア」「梱包・包装」
第4回「物流施設・不動産/建設/誘致」「防犯・防災/リスク対策/BCP推進」
第5回「物流業務支援サービス」「第1回マテハン・物流機器開発展」

テーマ1「搬送/仕分け/ピッキング」

EC(電子商取引)サービスの普及や新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛を契機とした、宅配サービスをはじめとする消費スタイルの多様化は、倉庫や店舗など物流・ロジスティクスの現場にこれまでにない変革を迫っている。こうした現場で取り扱う荷物の増加だけでなく多種類化も急速に進み、業務の極度な繁忙による人手不足やデジタル化の遅れが顕在化。その救世主として注目されるのが先進機器・システムの導入、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)化だ。

今回の関西物流展では、各種機器メーカーやITシステム開発企業など計44社が、「搬送/仕分け/ピッキング」のコーナーで参加する。物流DX化の取り組みの代表格として、搬送をはじめ荷物の仕分けやピッキングを行うロボット、さらにはそれらの運用を最適化するシステムを訴求する。各社がブースで展開する、ロボットなど自動化機器が荷物をスピーディーに運んで仕分けていくデモンストレーションは、まさに近未来の物流現場を具現化した圧倒的な存在感がある。

出展者のラインアップは、電気機器メーカーとともに産業システム開発企業の姿が目立つ。物流関連の先進機器・システムの開発トレンドは、もはや単独の製品提供による「個別最適」から、複数の機器をシステムで連動させることで、その現場の抱える課題をトータルで解決に導く「全体最適」の発想へのシフトが進んでいる。システム業界の出展が目立つ傾向にある理由は、まさにこうしたトレンドの変化にある。GROUND(東京都江東区)が出展ブースで披露する、AI(人工知能)やロボットなどの先端テクノロジーを活用した課題解決策の提案はまさにその一例であり、こうした全体最適の理念が根底にある。

来場者はこうしたブースで担当者と議論を深めることで、課題認識をゼロベースで再構築しながら現場に巣くう真の問題を抽出することで、より最適な解決策を導くことができる。それが、先進機器・システムの最適な選択と機能の最大化を促す近道となる。それを実現する場が、関西物流展をはじめとする物流関連の見本市なのだ。

「搬送/仕分け/ピッキング」カテゴリーでは、AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)をはじめ、コンベヤーや昇降装置、デジタルピッキング、ピッキングカート、ハンディーターミナルなど、倉庫や店舗における現場業務の負担軽減や最適化を支援する情報を数多く収集できそうだ。今回の関西物流展では、会場の中央部分にこのカテゴリーの出展ブースが集結する。順番にブースをめぐりながら、各社が独自技術を凝集して創出した機器・システムを、じっくりと体感する好機としてほしいところだ。

テーマ2「パレット・コンテナ/保管機器」

様々な姿の荷物が次々と運び込まれ、仕分けや検品を経てトラックに積み込まれていく。物流倉庫はいわゆるサプライチェーンの「要」となる機能を担う、物流における結節点の役割を果たす。そこでは、いかに安全で効率よく荷物を搬送できるかが、サプライチェーン全体の円滑化を左右するといっても過言ではない。

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そこでの現場業務を支えるのが、パレットやコンテナ、カートといった物流関連資材だ。業務効率化を推進するトレンドにあって、こうした資材をめぐる動きは大きく2つのベクトルが存在する。

まずは、資材調達や確保の円滑化と効率化だ。例えば、倉庫内における荷物搬送資材であるパレットは、各国・地域や用途に応じて規格化が進んでいる。また、フォークリフトやハンドリフトで運搬する際に支障が出ないように、リフトの爪の差し込み部分などの仕様は一定程度、統一されている。裏を返せば、サイズや主要な仕様については差別化よりも標準化が優先されている領域であると言える。そこで、レンタルやリースといったビジネスが生まれているのだ。

同様の事例は、コンテナやカートでもみられ、コスト面における現場効率化の代表例として関西物流展でも訴求ポイントとなりそうだ。

2つ目のベクトルは、資材の高機能化だ。物流現場の業務を支える資材として、規格化された範囲内で様々な付加価値の創出に余念がないのも、この「パレット・コンテナ/保管機器」カテゴリーの出展企業の特徴だ。

ワコーパレット(大阪市西区)は、物流作業の効率を改善するカーゴプレスタや高い強度が特徴の合板台車、さらに需要が急速に拡大する冷凍冷蔵コンテナを出展。使用用途に応じて多様なバリエーションを提供することで、現場業務を支援。エコパレット(滋賀県甲賀市)は、家庭から排出された容器包装プラスチックを再生した高強度で腐食に強いリサイクルパレットを訴求する。

今回の関西物流展では、こうした資材の付加価値創出は、機能での差別化だけでなく、環境対応によるSDGsの観点からも注目される存在になりそうだ。物流施設の建設が相次ぐなかで、従業員とともに確保する必要があるのが、こうした物流関連資材だ。膨大な数が必要である資材であるだけに、その効率的な調達手段と、標準化仕様の範囲内で様々な強みが求められている。関西物流展は、こうした課題のヒントを探し出す機会になりそうだ。

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