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冷凍温度帯に対応、東邦薬品が定温搬送装置開発

2022年7月7日 (木)

▲定温搬送装置「サルムFZ」(出所:東邦ホールディングス)

メディカル東邦ホールディングスは6日、医薬品輸送などに使う、マイナス25度からプラス4度に対応した定温搬送装置「サルムFZ」を開発したと発表した。新型コロナウイルス感染症用のワクチンを始め、冷凍輸送が求められるケースが増えていることを受けた製品だ。

発表によると、開発したのは子会社の医薬品卸大手、東邦薬品(東京都世田谷区)。物流過程などで厳格な温度管理が求められるスペシャリティー医薬品が増加していることに対応し、搬送装置の開発を進めていた。これまで「サルムTS」(内部温度プラス4度から37度)を販売していたが、新たに「FZ」をラインアップに加え、対応温度帯を広げた。ただ発売は現時点では未定で、しばらく社内での医薬品輸送に使いながら、ニーズを探るという。

サルムFZは、箱型で外寸法は幅400、奥行き250、高さ330ミリ。 内寸法は幅135、奥行き135、高さ210ミリ。重さ10キロ。マイナス10度からプラス35度の環境下で使え、内部の温度をマイナス25度からプラス4度の間で設定できる。電源は内臓バッテリー、または付属ACアダプター経由の外部電源となる。
内蔵された冷却装置と収納部構造により内部を均一な温度に保ち、周囲の温度変化に対しても精密な制御で安定温度に維持できる。保冷剤による定温管理と異なり、温度・装置の状態が本体に内蔵された記録装置に記録できるので、スペシャリティー医薬品の品質が完全に担保されていることを証明できる。「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」に準拠した運用で、製品の返品・再販売が可能になり、高額医薬品の廃棄リスクを大幅に低減できるという。

コンパクトサイズで持ち運びしやすい重量のため、物流センターや営業所から医療機関、手術室やベッドサイドなどの使用現場まで、一定温度で管理された状態のまま持ち込める。保冷剤・ドライアイスと異なりCO2排出量が少なく、医薬品の廃棄削減や無駄な輸送を減らすことで、製造や輸送に伴うCO2排出も削減できるという。