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UPR、「なんつい」でより長時間の資材追跡が可能に

2022年7月14日 (木)

産業・一般ユーピーアール(UPR)は14日、追跡システム「なんつい」端末のラインナップに、新たにアルプスアルパインの物流トラッカーを追加したと発表した。従来のラインナップでは電池寿命の観点から難しかった長期間にわたる位置追跡が可能となる。

なんついは携帯GPS(全地球測位システム)端末を利用した位置情報サービス。車両や物流機器に専用端末を取り付けることで位置情報を管理できる。温度センサー機能のある端末もあり、食品・医薬品など常に状態管理が求められる物品の輸送中の温度と位置をウェブサイト上で確認できるのが特徴だ。

▲物流トラッカーの利用イメージ(出所:UPR)

なんついは、車両・貨物や機密書類などの位置管理や食品・医薬品の温度管理などに適したソリューションとして訴求する。しかし、従来ラインナップの端末では、貨物の位置情報を取得・送信する端末の電池寿命が1か月程度に限られるためメンテナンス作業の負荷が大きく、パレットなど長期にわたる追跡が難しい課題もあった。

UPRは、なんついのあらゆる用途への対応を目指し、アルプスアルパインの物流トラッカーをラインナップに追加。Sigfox(シグフォックス)のLPWA(Low Power Wide Area、省電力かつ長距離での無線通信が可能な技術)とWi-Fi(ワイファイ)測位技術を組み合わせることで、低コスト・低消費電力ながら屋内外で精度50メートルほどの位置測位が可能となる。独自のセンサーアルゴリズムにより位置情報の発信頻度を最適化することで、無充電で長期間の稼働も実現する。

これらの機能により、パレットやカゴ車の流出先や滞留先、さらに流出先までの移動履歴が長期間にわたりメンテナンスフリーで追跡が可能となる。流出原因の可視化により適切な対応策の検討・実行も可能となり、資産である物流機器の紛失防止につなげられる利点もある。

資材の最適管理こそが、物流サービスや収益力の向上に直結する

UPRが、なんついの機能強化に取り組む背景には、物流現場におけるパレットなど資材活用の効率化・最適化を推進する動きが加速している実情がある。消費スタイルの多様化に伴う宅配ニーズの高まりなどを受けて、物流現場で取り扱う荷物の量や種類が急増するなかで、こうした資材の確保・調達は業務の円滑な推進に不可欠だからだ。

(イメージ)

仕様の共通化が加速するパレットは、複数の物流現場を頻繁に行き来することから、適切な量の確保がどうしても必要になる。急を要する荷物の取り扱いが発生した際にも、すぐに使える状態にしておかねばならないからだ。

さらに資産管理の見地から、紛失を防ぐとともに補充数を最小限とすることで、コストの削減や環境負荷低減の効果を生み出すことも見逃がせない。

パレットや台車といった物流資材は、一見すると付加価値を創出する存在であるとは認識しにくい。さらに言えば、その管理が物流サービス水準を左右するとは、現場も含めて理解されていなかっただろう。

UPRのこうした技術を活用することで、こうした資材の最適な活用こそが現場における収益構造をより強固にする近道であることに気づく。物流企業が提供するサービスのレベルアップや収益確保のヒントは、意外にもこうしたところに潜んでいることが分かる。(編集部・清水直樹)