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物流現場業務の効率化・最適化を促す重量検品アソートシステムや自律走行式ピッキングカート(AMR)をデモで披露

物流展は「ピッキング」新製品訴求の好機、寺岡精工

2022年8月24日 (水)

話題計量器メーカーの寺岡精工(東京都大田区)が、東京ビッグサイトで9月13日から4日間開催される「国際物流総合展2022」で、ピッキングカートとシャッターアソートシステムを組み合わせた「重量検品アソートシステム」(仮称)を初公開する。

1925年の創業以来培ってきた秤(はかり)の開発をベースに、ロジスティクス業界へ独創的な機器・システムを展開して注目を集める寺岡精工。今回の展示会では、重量検品アソートシステムとともに、自律走行式ピッキングカート(AMR)の新機種を訴求する。さらに、ピッキングカートや自動採寸計量器を活用した入荷・出荷ソリューションなど、すでに市場に展開する独自製品群を一堂に集めたブース構成とする。

▲国際物流総合展における寺岡精工の出展ブースイメージ

初めての試みとしてプレゼンテーションを交えたデモンストレーションを導入。こうした機器・システムの機能のより深い理解を促す仕掛けにも注力するなど、一味違ったブース展開に注目が集まりそうだ。

出展ブースの主役と位置付ける「ピッキングソリューション」

▲自律走行式ピッキングカート(AMR)の新機種「PKGA-4400」

「さまざまなお客様のニーズに応えるTERAOKAのピッキングソリューション」。今回の国際物流総合展における出展コンセプトだ。ピッキング関連機器・システムに軸足を置いた訴求を意識しているのが特徴だ。

その象徴と言えるのが、重量検品アソートシステムと自律走行式ピッキングカート(AMR)の新機種「PKGA-4400」だ。寺岡精工は年内にも市場展開するこれらの製品を今回のブース出展の主役と位置付ける。

既存製品を連携させてピッキング業務の最適化につなげる新発想、初公開の「重量検品アソートシステム」

重量検品アソートシステムは、どんな機能を強みとする新製品なのか。

「新開発の重量減算式ピッキングカートとシャッターアソートシステム(SAS)を連携させることにより、『種まき方式』のピッキング作業を効率化するシステムです」(ロジスティクスソリューション事業部の石山眞二郎・事業部長)。既存の機器とシステムの強みを組み合わせることで、ピッキング作業のさらなる効率化を支援するシステムの製品化につなげた。

アソートシステムとは、商品をオーダー別に仕分ける作業を支援する機能を持つ。物流倉庫における重要なプロセスの一つである小口仕分け業務を素早く正確に行うために欠かせないシステムだ。とりわけ物流現場への導入が進んでいるのが、仕分けする商品をハンディーターミナルなどでシステムに認識させると、棚や荷揃えロケーションなどに取り付けたデジタル表示器に指示数が反映される「デジタルアソートシステム」(DAS)だ。

スピーディーな業務を実現できるほか導入コストも比較的安価であることから、広く普及するDAS。とはいえ、物流現場では課題も指摘されてきた。「既存のシステムはどうしても商品を投入する間口や数を誤るミスが発生します。しかも、それを防止する機能が搭載されていないため、改善も難しかったのです」(石山氏)

DASの強みを生かしながらミスをなくす新しいシステムを作ることができないか。寺岡精工が研究を重ねて開発したのが、シャッターアソートシステムと重量減算式ピッキングカートをRFID(電波を用いてRFタグの情報を非接触で読み書きする自動認識技術)で連携させるシステムだった。

▲重量検品アソートシステムの強みを語る石山眞二郎ロジスティクスソリューション事業部長

商品を入れたコンテナを積んだピッキングカートがアソートシステムに近づくと、RFIDを介して商品関連情報が連携。商品を投入すべき間口のシャッターが自動で開く。ピッキングカートに表示された商品を指定された数だけコンテナから取り出して間口に投入して完了ボタンを押せば、仕分けが完了するという仕組みだ。まさに「種まき」にたとえられる作業の効率化・最適化につながる効果が期待できる。

「商品を投入すべき間口のシャッターだけが開くことから、誤投入をなくすことができます。さらに、システムの指示通りの数の商品を投入するため、数量の誤りも起きません」(石山氏)。DASの強みであるスピードを維持しながら、課題だったミスをなくせる優れもの。これが重量検品アソートシステムの訴求ポイントだ。早ければ年内にも製品化する予定で、まずは展示会で来場者の反応やニーズを見定めるという。

寺岡精工のピッキングシステム

最新自律走行式ピッキングカート(AMR)で訴求する「3つの強み」

重量検品アソートシステムとともに、展示会の出展ブースを飾るのが、最新自律走行式ピッキングカート(AMR)のPKGA-4400による自律走行デモンストレーションだ。2021年3月に愛知県で開催された国際物流総合展で披露して以来、1年半ぶりに公開。こちらも年内に提供を開始する計画だ。

▲寺岡精工のピッキングソリューション

今回の出展ブースでは、重量検品アソートシステムとともに、デモンストレーションでその便利さやスペックの高さを強く印象付ける。

「寺岡精工のAMRが持つ3つの強み『重量検品機能』『4オーダー同時対応』『手押しカートと同じシステムによる動作機能』を物流展で訴求することにより物流現場でのAMRの導入加速を促すとともに、寺岡精工の独自機能が持つ圧倒的な強みを再認識してもらう好機にしたいと考えています」(石山氏)

物流改革に挑むピッキングソリューションで新境地を開けるか

寺岡精工は今回の物流展で、こうした新製品のほかにも先進的な機器・システムを一堂に結集。ピッキングをテーマとした大胆なブース構成で来場者への提案力を強める。まずピッキングソリューションでは、重量検品アソートシステムと自律走行式ピッキングカート(AMR)「PKGA-4400」に加えて、8マルチピッキングカート「PKGM-4800」▽4マルチピッキングカート「PKGM-4400」「PKGM-4400F」▽シングルピッキングカート「PKGM-3100」――の計6製品を披露する。

■ピッキングカートソリューション動画

さらに、入荷ソリューションとして採寸計量器「SPK-25」、出荷ソリューションでは自動採寸計量器「SMART QBING」(スマートキュービング)と自動仕分け機「SORTING SYSTEM」(ソーティングシステム)を組み合わせたシステムを紹介。入出庫ソリューションは入出庫在庫管理システム「IT-MatexIII」(ITマテックスIII)とカウンティングスケール「DC-350III」の連携システムを、ラベリングソリューションではラベルプリンター「GP-7000α Verify(アルファヴェリファイ)」をそれぞれ出展する。


▲(左から)自動仕分け機「SORTING SYSTEM」、自動採寸計量器「SMART QBING」。物流展ではこれらを組み合わせた出荷ソリューションも披露する

物流現場におけるピッキングをはじめとする多様な業務の効率化・最適化に、秤の開発を起源とするユニークな開発技術で挑む寺岡精工。今回の展示会は、物流改革を実現するピッキングソリューションの観点から新たな挑戦に踏み出す姿を強く印象付ける機会になりそうだ。今から目が離せない。