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9/7「“点呼業務”徹底討論イベント」事前企画/登壇各社メッセージ第1回

今後占う分水嶺になる「遠隔点呼」/タイガー井上氏

2022年8月24日 (水)

話題LOGISTICS TODAYが9月7日に開催するオンラインイベント「運送会社DXに盲点、“点呼業務”の主要メーカー・販社と徹底討論」。登壇各社が、点呼業務支援機器・システム業界の現場や課題、今後の方向性について持論を展開します。

法的な枠組みが進む一方で、その対応に苦慮する現場。乗務員の安全確保と社会インフラである物流の維持に欠かせない点呼業務は、EC(電子商取引)サービスの普及などを反映した現場の業務負荷の高まりを受けて、より効率的で実効的な対応が求められています。LOGISTICS TODAYは3社が展開する議論に加わりながら、各社の訴求テーマや社会の動きを踏まえ、こうした「点呼改革」のあるべき姿を示していく契機とします。

LOGISTICS TODAYは、登壇各社にイベントで発信したいテーマを紹介する事前企画を展開。イベント本番に向けた意気込みと訴求したい内容のヒントを提供します。第1回は、タイガー販売促進部販売促進課の井上敦士氏です。

ことし4月に制度化された「遠隔点呼」。本人確認や情報共有の確実性を担保する高度な点呼機器・システムの活用により、事業者の営業所間や車庫間、グループ企業の営業所間などで行う点呼を指します。今回の制度化を契機として、遠隔点呼の普及を見据えた各社が対応する機器・システムの開発を進めています。しかし、一見利便性が増すように思える、新しい点呼の枠組みとしての「遠隔点呼」ですが、現状では事業者の申請件数がそれほど多くありません。

なぜか。遠隔で点呼を行う場合は、事務所などの担当者が遠く離れた場所にいるドライバーが「本人」であることを確認することが必須であり、それには顔認証システムなどのソフトウエアの導入が欠かせません。体温や血圧の測定機能などドライバーの健康状態を確認するシステムも必要になってきます。また、事業者内で台帳や指導監督の記録を他営業所などと共有できる仕組みを用意しなくてはならず、「遠隔点呼」を開始しようとしても、環境や設備・運用面での準備に手間がかかってしまいます。

(イメージ)

さらに、遠隔点呼の普及におけるハードルになりかねない要素なのが、「IT点呼」との違いが明確に認識されていないことによる混乱です。遠隔点呼はIT点呼と異なり、「Gマーク」(安全性優良事業所)を取得していない営業所でも利用できるのが特徴です。遠隔点呼は営業所と車庫、車庫と車庫といった、営業所内だけでなく他営業所の車庫間でも認められています。昨今は、事業者間のM&Aも活発に行われており、グループ企業の営業所とも点呼業務を行える「遠隔点呼」の制度は追い風とも言えます。

ところで、点呼業務の効率化はいったいどこまで進むのでしょうか。「新しい生活様式」の時代を見据えてEC(電子商取引)サービスのさらなる普及が予想される一方で、ドライバーをはじめとする物流現場の従事者の確保はいっそう難しくなるでしょう。こうした観点で考えると、このたび制度化された遠隔点呼は今後の点呼業務のあり方を考えるうえで、分水嶺(ぶんすいれい)となるのではないでしょうか。

早ければ年内にも帰庫時の点呼の無人化を認める、そんな動きも始まっているようです。IT点呼から遠隔点呼、さらに帰庫点呼無人化という流れが進めば、点呼機器・システム開発の行方も新たな局面を迎えることになります。社会インフラである物流の安全で持続的な確保・成長に欠かせないのが点呼業務です。繁忙な現場でいかに効率よく運用していくか。点呼機器・システムを扱う我々の覚悟も問われています。

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