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ファシル「シェアする防災」大切さ訴求/国際物流展

2022年9月13日 (火)

▲シェアする防災セット

話題トラック輸送など物流現場だからこそ担える社会貢献とは何か。社会に不可欠なインフラを担う「社会的責任」と、支援物資などの供給体制の一翼を担う事業者としての「社会的貢献」。その両方が求められる業界の担い手だからこそ果たせること、それが「助け合う物流」ではないか――。

そんな発想を胸に、物流業界へ全く新しい概念の社会貢献をもたらそうとしている企業がある。静岡市駿河区を拠点とする防災用品メーカーのファシル。その発想を具現化した新商品「シェアする防災セット」を本年5月に発売。八木法明・代表取締役が13日、「国際物流総合展2022」でこうした取り組みを訴求した。

シェアする防災セットは、トラックをはじめとする輸配送用車両への搭載を想定して防災グッズを詰め合わせたものだ。防災セットと言えば、すでに広く提供されていると感じる向きもあるだろう。ところが、この防災セットはまったく商品設計思想が異なる。1箱に6種類または7種類の防災グッズを30人分詰めて、トラックなどの車内に備蓄。地震や大雨をはじめとする被災による立ち往生時などに、周囲に防災用品を分け合うための備蓄セットなのだ。

▲使い捨て携帯トイレやマスクなどの必要最低限のアイテムを厳選

ファシルは防災セットの収容品として、使い捨て携帯トイレやマスク、長期保存用カイロ、備蓄用氷砂糖、災害時お役立ちカードといった最低限のグッズを厳選。温度変化が大きい車内でもコンパクトに備蓄できるようグッズをできる限り薄くしたほか、周囲の環境変化への耐力が高い素材の箱を使用するなど、長期間の車内備蓄を想定した仕様が特徴だ。

さらに、トラックなど車両後部に装着するステッカーも用意。ハートマークに「防災」の文字をあしらうとともに「防災用品を備えています」とのメッセージも添えた。

ファシルのこうした「助け合う物流」の発想の輪は、共感した企業が防災セットの導入に向けた動きを進めるなど早くも広がりを見せ始めている。八木代表は「『防災をシェアする』こと、それは物流業界だからこそ実現できる社会貢献だ。物流業界のイメージ向上とともに、ドライバーにも社会貢献への意識を醸成する好機となる」と強調する。

物流業界だからできる「共助」の理念、ファシルの活動が思い起こした衝撃

13日に東京ビッグサイトで開幕した「国際物流総合展2022」。参加企業・団体のトップや幹部が自らの言葉で先進的な取り組みを来場者に訴える「出展者プレゼンテーションセミナー」の会場で繰り広げられた八木代表の講演は、まさに衝撃的な内容だった。

物流業界だから担える社会貢献として、「あらゆる人と助け合う物流」という発想を訴える八木代表の言葉。それは、物流業界の全ての関係者が理解し共有するとともに、次の世代に引き継いでいかねばならない理念であるはずだからだ。

▲八木法明・代表取締役

物流業界では近年、輸送トラックなどの車内に防災グッズを常備する取り組みが進んできた。とはいえ、ファシルが提唱する「共助」の概念に到達した企業はまだ限りなく少ない。

八木代表が抱く「物流業界だからできる」貢献の意義は、物流事業そのものが社会の発展に“貢献”するものであるとの思いからだ。それならば、防災という観点でもこうした社会貢献策を講じることはできるのではないか――。こうした想いが背景にある。

物流業界を構成する我々は、こうした理念の大切さを強くかみ締める必要がある。ともすれば忘れてしまっていたそんな思いに、改めて気付かされた瞬間だった。(編集部・清水直樹)

国際物流展2022特集、現地取材記事を随時公開