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高度化する輸送品質ニーズにパートナーとともに対応するソリューションを展開

インテル、6種センサーで輸送品質を適時に可視化

2022年10月6日 (木)

話題輸送中の貨物の状態を確認したい。そんな要望が、荷主企業だけでなく輸送事業者にも急速に広がっている。トラックや船舶など様々な輸送モードで世界中を行き来する貨物。約束通りの日時に配送先へ届くのはもちろんのこと、品質が適正に確保された状態で運ばれているか。いわゆる「輸送品質」がこうした輸送ビジネスの価値を決める基準になってきている。

輸送中の貨物の状態をいかに把握するか。どんな観点から適正な輸送状況を判断すればよいか。配送先に届いた時点だけでなく、輸送中の貨物の品質をリアルタイムで管理する方法はないか。輸送品質の確保をめぐるこうした問題について、IoT(モノのインターネット)を活用して解決を図ろうとしている企業がある。

米カリフォルニアに本社を置くインテル。「インテル入ってる」のキャッチコピーで知られる世界的な半導体メーカーであり、ハードウェア事業をはじめとする各種コンピューター関連事業も展開している。なかでもパソコン向けCPU(中央処理装置)の世界シェア(市場占有率)はトップクラスだ。そんなインテルが目論むIoTによる物流支援ビジネス、それは貨物の状態の「可視化」による輸送品質の確保だ。

▲インテルインダストリー事業本部エンタープライズ事業統括部交通・物流事業推進担当部長の横山裕氏(左)と日新事業戦略部物流DX推進室の中川穣氏

輸送中の貨物を適時に監視するインテル(R) CLPの持つ「6つの計測ポイント」

▲インテル(R) CLPのコンポーネント。輸送中の状態を「可視化」したい貨物にセンサータグ(子機、右)を装着し、主要な輸送拠点に設置したゲートウェイ(親機)を経由してクラウドに集められ、適時でパソコン画面に図表などで表示される

インテルは、輸送中の貨物の状態をリアルタイムで監視する「インテル(R) コネクテッド・ロジスティクス・プラットフォーム」(インテル(R) CLP)の市場展開を進めている。「センサータグ」と「ゲートウェイ」を活用して、クラウドを通してパソコン画面で荷物の状態を「位置」「温度」「湿度」「衝撃」「傾き」「照度」の6つの計測ポイントで適時に確認できるシステムだ。

システム展開の対象は、医薬品や高級食材、精密機器など、輸送時により高度な品質管理が求められる貨物を取り扱う事業者や荷主だ。EC(電子商取引)サービスの急速な普及に加えて、新型コロナウイルス感染拡大も契機とした貨物輸送の多様化で、従来よりもさらに高水準の輸送品質が求められるようになっている。インテルは、こうした動きにビジネス機会を見出しているのだ。

「こうした輸送時における貨物の可視化、それはインテルのIoTビジネスのルーツであると言えます」と語るのは、インテル インダストリー事業本部エンタープライズ事業統括部交通・物流事業推進担当部長の横山裕氏だ。

インテルのIoTビジネスの第一号となった「物流」向けのインテル(R) CLP

IoTというキーワードが社会に広がり出した2015年。その定義すら定まっていないそのころ、インテルはこの発想をビジネス創出につなげるための模索が始まっていた。条件は、あくまで汎用的な仕組みとして市場を広げていくこと。パソコン向けCPUで高いシェアを獲得した、インテルの得意とするビジネスモデルだった。

▲「こうした輸送時における貨物の可視化、それはインテルのIoTビジネスのルーツであると言えます」と語る横山氏

インテルが製造から小売、エネルギーまで幅広い産業におけるIoTビジネスの可能性を探るなかで着目したのは、なんと自社の物流部門だった。「半導体の製造装置や原料など、傾きや衝撃に敏感な物流業務が求められる部門であるにもかかわらず、その現場はデジタル化が進んでいませんでした。輸送品質に配慮する観点からも、社内でPoC(概念実証)が必要であると判断したのです」(横山氏)

これが契機となり、IoTビジネスの第一弾となる事業対象は「物流」と決まった。市場調査の結果、的確な温度管理が求められる医薬品の輸送品質の確保が喫緊の課題になっていること、さらに盗難を含めた輸送中の「貨物ロス」も問題化していることがわかった。「インテルがIoTを活用して物流業界の問題解決を支援できること。それが貨物の輸送品質の確保だったのです」(横山氏)

親機と子機の連携でデータを収集するインテル(R) CLP

こうして生まれたインテル(R) CLPは、輸送中の状態を「可視化」したい貨物にセンサータグ(子機)を装着し、さらに主要な輸送拠点にゲートウェイ(親機)を設置する。センサータグが計測した温度など6つのポイントのデータは、ゲートウェイを経由してクラウドに集められ、リアルタイムでパソコン画面に図表などで表示される。

「輸送中の貨物の状態を適時に監視できるインテル(R) CLPは、フォワーダーなど輸送事業者にとっては顧客サービスに付加価値を提供できる利点があります。輸送中も最適な品質を確保する高水準の貨物サービスを提供できる事業者であることを、実績に基づいてアピールできるからです」(横山氏)

インテルは、インテル(R) CLPが持つデータ集積機能に着目。より多くのデータを蓄積することにより、貨物輸送の品質確保に加えて、的確なインシデント(事故などの危難が発生するおそれのある事態)への対応や輸送ルートの最適化提案、さらには新規顧客の獲得に向けたコンサルテーションにもつなげることができると考えている。こうした「ビジネス領域の裾野を広げる取り組み」(横山氏)により、インテル(R) CLPをより幅広い問題解決の支援システムとして訴求していく。これがインテルの描くインテル(R) CLPビジネスの戦略だ。

インテル(R) CLP導入に向けた試行に取り組む日新、インテル(R) CLPの強みは「輸送状況の『ブラックボックス化』の改善」

「従来のデータロガー(計測・収集した各種データの保存装置)と比べて多機能である点が魅力です」。インテル(R) CLPの本格展開により輸送品質のさらなる向上につなげようとしているのが、国際物流に強みを持つ日新だ。

近年の物流トレンドを踏まえて、医薬品や生鮮食品、高付加価値品の輸送に注力する日新は、貨物の適切な輸送を確認する手段としてデータロガーを活用している。しかし、さらなる輸送品質の水準を高めるために解決すべき問題があった。

▲「貨物の輸送中に発生したイベントを的確に把握することで、国際物流における『ブラックボックス化』の改善が期待できます」とインテル(R) CLPの位置情報機能に注目する中川氏

「貨物の輸送状況をリアルタイムに把握することです。輸送中に発生したイベントを的確に把握することで、国際物流における『ブラックボックス化』の改善が期待できます」。日新事業戦略部物流DX推進室の中川穣氏は、インテル(R) CLPの位置情報機能に注目している。従来は記録された日時から逆算してインシデント発生場所などを推測していたが、位置情報が可視化されることで、「どこで発生したイベントか」をさかのぼって確認しやすくなったという。もちろん、医薬品や生鮮食品の輸送に不可欠な温度計測機能に有効な成果が出ているのは言うまでもない。

国内市場でも導入に向けた動きが進むインテル(R) CLP。ここで中川氏が指摘するのが「親機と子機のペアリングによる優位性」だ。「他のタグコードが手作業での読み取りを前提としているのに対して、インテル(R) CLPは自動性と効率化を図る独自の手法が特徴だと考えています」。日新は現在、インテル(R) CLPの本格展開に向けた試行を進めているが、各主要拠点に親機を配置して情報収集の効率性を高める取り組みを実現したい考えだ。

中川氏は、さらに従来のデータロガーでは難しかったインテル(R) CLPの機能として「照度の計測機能を挙げる。「医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインでは、「光」も大切な要素です。その計測管理が可能であるインテル(R) CLPの機能は有益であると考えています」。照度計測は開封検知の観点からも重要なデータを提供することから、貨物の輸送品質を語るうえでも欠かせないポイントになっているのだ。

インテル(R) CLP展開で変わるか、インテル流の輸送品質向上ニーズへの対応力

国内におけるインテル(R) CLPの導入実績は、日本通運(東京都千代田区)に次いで日新が2例目となる。横山氏は「日新の導入に向けた試行から生まれた提言を、インテル(R) CLPのさらなるアップデートにつなげたい」と考えている。こうしたIT機器の苦手な輸送現場の担当者でもより簡単に使える仕様とするなど、導入先の情報把握にも力を入れているという。

そもそも、インテルは基盤となるテクノロジーの開発を進める一方で、現場ニーズに合わせたカスタマイズやアップデートは、パートナー企業に委ねているビジネスモデルが特徴だ。裏を返せば、オープンな状態でパートナーを組みながら顧客ニーズに柔軟に対応する仕組みを構築しているということになる。インテルはインテル(R) CLPについてもこうした手法を駆使しながら、市場を拡大していく方針だ。

こうしたスマートな印象の強いインテルだが、日新によるインテル(R) CLPの展開支援を続けていることからも分かるように、導入先の特性や事情を考慮した姿勢を貫くのもインテルのやり方だ。「導入段階における信頼性と、導入検討時の心理的ハードルの低さ。それがインテルが提供するサービスの強みではないでしょうか」(中川氏)。インテルによるインテル(R) CLPの訴求力の行方は、無限に続く輸送品質向上ニーズにおける輸送事業者や荷主企業の対応力を占う「試金石」にもなりそうだ。

インテル(R) CLPサイト
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