ロジスティクス国土交通省は24日、貨物運送事業への乗用タイプの軽自動車(軽乗用車)の使用を10月27日に解禁すると正式に発表した。フードデリバリーやラストワンマイル配送などの物流事業の姿を変え、新たなプレーヤーの参入にも道を開く大きな規制緩和となる。軽乗用車の使用にあたっては貨物軽自動車運送事業者であることを示す「黒ナンバー」の発行を受けることが条件で、国交省は解禁に合わせて、安全確保や過積載の禁止などの規定をしっかり守るよう改めて注意を呼び掛けている。
同省の発表によると、軽乗用車の運送使用は、24日付で同省自動車局の貨物課長ら3課長から各地の運輸局に対する通達で正式に公表され、27日に同通達が施行されることで解禁される。
貨物軽自動車運送事業法により、これまで貨物運送に使える軽自動車は商用タイプに制限されていたが、27日以降は軽乗用車も使える。同省は使用に際して、(1)積載貨物重量は乗車定員数から乗車人数を引いた数に55キロを乗じた重量以内、(2)荷物の位置が極端に運転者室および客室の前方、後方または片側に偏る積載をしないこと――という制約を課した。
また、各運輸局に対し、事業者から届け出を受理する際、重量オーバーや有償での旅客運送をしないことを周知し指導することを定めた。過労運転の防止や酒気帯びの有無の確認といった運行管理を適切に行うことを事業者に周知することも定めた。
軽乗用車の運送使用解禁問題は、政府の規制改革推進会議のスタートアップ・イノベーションワーキング・グループ(WG)でことし4月に議論が始まったのが発端だ。解禁を盛り込んだ規制改革実施計画が6月に閣議決定され、それを受けて国交省が8〜9月にパブリックコメント(意見募集)を行い、準備作業を進めてきた。
近年、フードデリバリーサービスなどの需要が急拡大し、とくに降雪地域では冬季にバイクや自転車での配達が難しいことなどから、使用できる軽自動車の種類を乗用タイプにも広げてほしいという規制緩和ニーズが高まっていた。乗用タイプは一般に商用タイプより安い。また、従来は運送に使うには乗用タイプから商用タイプへの切り替えが必要で、後部座席を外して荷室を確保するといった構造変更に費用が掛かっていた。国交省も推進会議での議論やパブリックコメントを踏まえ、運送手段の幅を広げて事業者の経営安定化や新規参入を促すことにした。
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