行政・団体国土交通省はことし10月に、フードデリバリーなどの運送事業の手段として、乗用車タイプの軽自動車の使用を解禁する方針だ。これまで商用車タイプに限っていたが、デリバリーサービスの需要が急拡大していることなどを受け、手段の幅を広げて事業者の経営安定化や新規参入を促すことにした。
貨物軽自動車運送事業法により、これまで貨物運送に使える軽自動車は商用車タイプに制限されていた。ことし6月に閣議決定された規制改革実施計画に基づき、政府内で軽乗用車の使用を可能にする検討がなされ、同省は通達によって規制を緩和する方針を固めた。8月9日からパブリックコメント(意見募集)を始めており、9月8日まで受け付ける。寄せられた意見を元に、さらに検討を加えた上で、10月に同法に基づく通達を発して軽乗用車の使用を解禁する予定だ。
同省貨物課によると、軽乗用車に積める荷物の重さは、乗車定員から乗車人数を引いた数に55キログラムを乗じた重さを上限とする。
同課によると、この規制を巡っては、フードデリバリー事業者などから降雪地域で冬場にバイクや自転車に替えて軽自動車を活用することの有効性と、そのための車種規制の緩和を訴える要望があったという。商用車タイプより低価格な乗用車タイプの使用が解禁されれば、事業者のコスト負担が軽減され、新規参入のハードルも下がる。
なお、軽乗用車であっても貨物運送に使う場合は黄色ナンバーではなく黒ナンバーが必要となる。