ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

30年度のトラック輸送能力34.1%不足、NX総研推計

2022年11月22日 (火)

調査・データトラックドライバー不足や働き方改革関連法で残業時間が規制されることによる「物流の2024年問題」の影響で、2030年度には国内の営業用トラックの輸送能力が34.1%(9.4億トン)不足する可能性があることが、NX総合研究所(東京都千代田区)がこのほどまとめた推計で明らかになった。この物流需給ギャップの解消には、倉庫などでの荷待ち時間や荷役時間の短縮が必要だと指摘しており、物流業界や荷主企業を挙げた効率化の取り組みをさらに加速、徹底する必要に迫られている。

この推計は、国土交通・経済産業・農林水産の3省が共同で開いている「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の第3回会合(11月11日)で、24年問題の影響を議論する際、委員であるNX総研の役員が報告した。

(イメージ)

それによると、30年度には、まずドライバー不足により輸送能力の19.5%(5.4億トン)が不足すると推計。そのほかに24年問題(勤務時間制限)による不足分4億トンがあり、合わせて34.1%(9.4億トン)が不足する可能性があるという。

この推計は、30年度のドライバー不足数を21万4086人と予測した上で、営業用トラックの輸送トン数の推計値と、ドライバー不足数にドライバー1人当たりの年間輸送トン数を乗じた数値を比較して推計した。

「24年問題」だけで4億トン不足、荷待ち・荷役の時短必要に

この推計のうち、24年問題だけの影響はどの程度なのか。NX総研は上記推計の前段階の試算として足元の24年問題による輸送能力不足も報告している。9月に厚生労働省が示した改善基準告示改正では1年の拘束時間の上限を「原則3300時間」(現行は3516時間)に見直しており、それを基に19年度の実績データで計算した場合、不足する輸送能力は14.2%、不足する営業用トラックの輸送トン数は4.0億トンと試算された。

試算では、この不足分を解消するには、荷待ち時間を18%、荷役時間を10%、それぞれ削減する必要がある。また、発荷主別でみると、輸送能力不足割合は「農産・水産品出荷団体」が32.5%と最も高く、「特積み」が23.6%、「元請けの運送事業者」が12.7%と続いた。地域別の不足割合は、「中国」が20.0%と最高で、「九州」が19.1%、「関東」が15.6%と続いた。

NX総研は報告書の中で、改正改善基準告示の中の、1年間の拘束時間を「3300時間」を仮に「3400時間」に緩めた場合の試算も付記している。その場合、不足する輸送能力は5.6%、不足する輸送トン数は1.6億トンまで縮小されるという。検討会での議論の参考情報として報告した。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com