GROUND、トラスコ中山の施設内搬送を支援

▲トラスコ中山の物流施設で稼働する自律協働型ロボット「Oasis 600C」（出所：GROUND）

ロジスティクスGROUND（グラウンド、東京都江東区）は7日、物流施設内の作業工程間搬送を支援する自律型協働ロボット「Oasis（オアシス）600C」をトラスコ中山の物流施設「プラネット埼玉」（埼玉県幸手市）へ導入すると発表した。12月中に稼働する予定だ。

オアシスは、2021年末にGROUNDが販売代理店として提供を開始したStandard Robots（スタンダードロボット、中国）製のロボットだ。

物流施設内での搬送作業については、固定式コンベヤーを敷設しているルートを除いて、基本的には人手による搬送を前提としている。搬送距離の長さや重量物搬送の作業負荷の大きさが問題になっていたほか、フォークリフトの使用時には有資格者の登用が必要であるなど、物流施設内における搬送作業における効率化・最適化が求められている。

GROUNDは今回、こうした作業負荷が大きく人的コストも高い搬送工程にオアシス600Cを導入することにより、生産性向上と省人化を実現。自律型協働ロボットの強みである可搬性と障害物の自動回避機能に加えて、磁気テープや2次元コードなどの物理的なロボット移動誘導ガイドの工事も不要である特徴を生かすことで、使用場所や目的の変化に合わせた柔軟な運用変更が可能となる。

オアシス600Cは、物流施設内の作業工程間搬送だけではなく、出荷エリアで荷物をフォークリフトなどで運べるようパレットに荷物を積むパレタイズロボットとの自動連携も実現。入荷商品の各フロアへの搬送工程における垂直搬送機とも自動で連携させる予定だ。物流施設内の複数の工程における作業負荷の低減や省人化へ寄与する取り組みだ。

▲パレタイズロボットとの連携

▲垂直搬送機との連携

トラスコ中山取締役物流本部の直吉秀樹本部長は「工程間搬送に加えて垂直搬送機との連携も行うことにより、縦方向の搬送の自動化も実現した。こうした『縦』『横』の搬送の自動化により、各フロアの商品滞留を解消させて格納までのリードタイムを短縮させることが可能となる」と意義を語る。

GROUNDが提示する、サプライチェーン強化に不可欠な「施設内搬送の最適化」の意義

生産物を生産者から消費者へ引き渡す活動を指す「物流」。こうした生産物を工場から倉庫へ、倉庫から店舗へと運ぶプロセスは、保管や流通加工などとともに物流業務に欠かせない機能である。

物流現場における問題解決の必要性がクローズアップされるようになって久しい。近年は、こうした問題をロボットをはじめとする先進機器・システムを活用して解決しようとするDX（デジタルトランスフォーメーション）の動きが注目されている。

輸送におけるDXについて考察する際に、サプライチェーン全体の最適化を論じる観点から、幹線をはじめとする施設間の輸送に焦点が偏りがちだ。もちろん、「物流の2024年問題」に象徴されるように長距離輸送における就労環境の改善や業務効率化が喫緊の課題になっているのは周知の通りであり、対処すべき問題であることは事実だ。

ところで、物流にはモノを運ぶもうひとつのプロセスが存在する。物流施設内における搬送だ。倉庫内における入出庫や仕分け、保管、検品といった活動に伴い生じる作業だ。いわゆる倉庫内スタッフと呼ばれる従業員の業務上の負担も、見逃せない問題として浮上している。そこに着目してDXによる解決法を開発・提案するのが、GROUNDだ。

サプライチェーンが健全に機能するには、施設間輸送だけでなく施設内搬送の停滞回避は欠かせない。まさに社会を機能させるための「血液」の存在を担っていることに変わりはない。

倉庫内におけるあらゆる人とモノの動きを最適化するシステムの開発を推進するGROUNDにとって、こうした倉庫内搬送における問題解決の支援ビジネスはまさに「屋台骨」と言える存在だ。モノを運ぶ各段階における最適化の「連鎖」こそが、サプライチェーンの確保・強化につながることを、GROUNDの取り組みは改めて示している。（編集部・清水直樹）

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LOGISTICS TODAY編集部
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