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警護のプロと貴重品特化の輸送サービス、寺田倉庫

2023年1月11日 (水)

サービス・商品寺田倉庫は11日、警護輸送専門の米ブリンクス・カンパニーの日本法人、ブリンクスジャパン(東京都港区)と業務提携し、貸金庫サービス「TERRADA SAFE BOX」(テラダセーフボックス)の付帯サービスで、貴重品に特化した警護輸送サービスの提供を始めた。高額な貴重品の運搬から保管までをワンストップで提供する包括的なソリューションとして、警護のプロとタッグを組んで貴重品の円滑で安全な輸送を実現する。

(出所:寺田倉庫)

発表によると、テラダセーフボックスは1975年から提供するもので、金庫の温度や湿度の管理を徹底するとともに10層から形成する強固なセキュリティ機能を備える。年中時間を問わず保管品を出し入れできるのが特徴。近年、金や銀、宝飾品などの安全資産に関心が高まるなか、貴重品保管のサービスに注目が集まっているという。

従来は、ユーザーが貴重品を運搬する際、個別に警備輸送サービスを手配する必要があった。新サービスでは貴重品の運搬警備業務検定の国家資格を保有する警備員が対応し、専用の警備車両で東京都内の自社倉庫「天王洲PREMIUM」にある同社倉庫と自宅、事務所といった指定区間を運搬する。警備員は厳しい研修プログラムを通じて高い技術を習得している。

警護輸送サービスの料金は税込3万8500円(保証1000万円まで)、同6万500円(同3000万円まで)で、いずれのプランにも保証が含まれている。貴重品はサイズ、重さに上限があり、輸送する指定場所は東京都23区内に限る。

寺田倉庫は「今後も、保管に関するあらゆるソリューションをシームレスに提供することで、お客様の貴重品管理を長期にわたってサポートする」としている。

独創的な物流サービスで存在感示す寺田倉庫が示す「社会を支える物流」のあり方

倉庫ビジネスは荷物を保管できるスペースを提供するのが生業(なりわい)だ。こんな定義は、もはや過去の話なのだろう。寺田倉庫が貴重品専門の警備輸送サービスを開始した。貸金庫ビジネスの付加サービスとして位置付けるものの、警備輸送の専門事業者と提携するなどビジネスとして本腰を入れる構えだ。倉庫業だからできる警備輸送サービスとは何か。今後の動向に注目だ。

(イメージ)

美術品やワイン、映像フィルムなど繊細な温度・湿度管理が欠かせない物品の保管ビジネスで圧倒的な強みを持つ寺田倉庫。倉庫業界でも差別化戦略を推進した個性的な事業展開で、付加価値の高い保管サービスを提供してきた。

さらに寺田倉庫の特徴なのが、いわゆる倉庫以外への事業展開だ。本拠地である東京都品川区の天王洲エリアにおける活性化策として繰り広げる、音楽や各種イベントなどの文化発信活動はその代表例だ。

そんな寺田倉庫が発案した、貴重品輸送の新サービス。高品質な物品保管サービスを追求する取り組みの延長上には、それが受け手に最適な形で届けたいとの思いがある。なかでもより慎重な取り扱いが求められる貴重品であるならば、なおさらだ。そこに存在するのは、倉庫ビジネスも枠を超えた、物流の担い手としての「使命感」だ。

倉庫を含めた物流という仕事が社会に不可欠なインフラと位置付けられているのは、それがあらゆる社会活動を維持する前提になっているからだ。裏を返せば、社会の持続的な発展には、物流サービスのさらなる最適化が欠かせないということだ。

物流サービスの提供に携わる事業者が、独自の強みを反映したビジネスを拡大させることで、変化に対応できるより柔軟な社会環境を構築できないか。寺田倉庫の取り組みは、そんな問いに対応するヒントを絶えず提示しているように思える。(編集部・清水直樹)