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大雪立ち往生回避へ「躊躇なき通行止め」、高速2社

2023年2月8日 (水)

環境・CSR中日本、西日本の両高速道路会社(NEXCO)は8日、1月24〜26日に大雪により新名神高速道路で発生したトラックなどの大規模な車両滞留について、立ち往生が起きる可能性への見極めが甘く、通行止めにするタイミングが遅れたことを認めた。滞留が一時的なものと判断した上に「東西の大動脈を確保する観点から通行止めに関する運用ルールが徹底できず、関係機関との情報共有も不十分だった」と原因に言及した。両社が同日発表した「大雪時の当面の対応策」のなかで明らかにした。今後の対応策について「予防的通行止め」の適用基準に達しない場合でも、大規模な立ち往生が予見される場合には「躊躇(ちゅうちょ)なく通行止めを実施する」としている。

また、ドライバーへの情報提供を強化する新たな施策として、新たなプッシュ型の情報提供ツールで、ドライバーの個人のスマートフォンに自動でプッシュ通知する「みちラジ」の導入促進を図る。また、立ち往生が発生した場合、ツイッターなどを含めてあらゆる媒体をフル活用し滞留や作業の状況、解消の見込みをきめ細かく伝えるよう徹底する。

▲新名神で給油を必要とする車両を救助する様子(出所:NEXCO中日本)

発表によると、新名神で除雪の継続が困難になってから通行止めの実施まで4時間が経過していた。今回の立ち往生を巡って、立ち往生は一時最大で70キロに及んだほか、通行止めの実施からすべての滞留車両が現場を離脱するまで最長28時間を要した。

対応策のなかで検証したポイントとして、両社は「通行止めのタイミング遅れ」「道路利用者への不適切な情報提供」「立ち往生した道路利用者への支援」「渋滞解消に長時間を要したこと」「通行止め解除までに想定以上に時間を要したこと」の5点に焦点を当てた。

このうち適切さを欠いた情報提供に関しては「大規模滞留にもかからわず、通常の事故などの渋滞時と同様の対処を行った」と原因を説明。滞留に巻き込まれたドライバーに、滞留や除雪作業の状況、解消見込みに関する情報発信が不十分だったとした。

滞留解消に長時間を要した点は、一部の車両が直ちに動けなくなり、人力での除雪が必要になったほか、関係機関への応援要請をしなかったことを挙げた。ここでも「渋滞による対応が一時的なもの」と見通しの甘さを露呈した。

通行止め解除までの時間については、広範囲での圧雪による路面凍結が影響し、安全な路面確保のための作業が想定以上にかかったと言及。今後は効果的な凍結防止剤の活用や新技術を用いて、同様の事態にも対応できる体制整備を進める考えを示した。

今回の名神・新名神での立ち往生の経過

【1月24日】
「10年に1度の寒波」という報道があったものの、名神・新名神の降雪予測から両路線での除雪は対応可能で交通確保できると判断

【1月24日夕方から夜】
名阪間を結ぶ高速道路のうち名神(愛知-滋賀)、名阪国道、京滋バイパスなどが通行止め。その影響で名神の滋賀・京都間に交通が集中し、新名神の三重・滋賀間でも渋滞が発生

【1月24日17時ごろ】
名神・京都付近で予測を上回る降雪により、名神(下り)-大山崎ジャンクション(JCT)付近を先頭に30キロの渋滞が発生

【1月24日22時すぎ】
名神(下り)-天王山トンネル付近を先頭に、湖東三山パーキングエリア付近まで渋滞が発生(名神最大70キロ)

【1月24日23時ごろ】
名神の渋滞を契機に、影響が新名神にも波及。新名神・草津JCT付近で渋滞が滞留へと変化

【1月25日0時すぎ】
新名神-土山サービスエリア付近で、除雪車両が滞留車両に巻き込まれ作業が困難に

【1月25日3時50分】
新名神-草津JCTを先頭に、滞留が菰野インターチェンジ(IC)を超えたため、四日市JCT-甲賀土山ICで通行止めを実施(新名神最大66キロ)

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LOGISTICS TODAY編集部
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