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マースクが年1万人をリストラ、収益100億ドル減で

2023年11月6日 (月)

国際マースクは3日、2023年第3四半期決算を発表した。売上高は、2022年第3四半期の228億米ドルに対し、121億米ドル、EBITマージンは4.4%となり、運賃の低下と物量の減少が影響した。運賃が2022年のピークを大きく下回り、海上輸送能力の増強が試される厳しい市場環境のなか、予想通りの結果となった。

(出所:マースク)

マースクCEOのヴァンサン・クレール氏は「私たちの業界は、需要の低迷、過去の水準に戻った価格、コストベースへのインフレ圧力など、新たな常態に直面している。夏以降、ほとんどの地域で余剰の設備が価格下落の引き金となり、船舶のリサイクルやアイドリングが顕著に増加することはなかった」とし、今後の厳しい状況を踏まえ、業績を守るため、コストと資金を抑制するいくつかの施策を加速。マースクは厳しい市況の影響を効果的に緩和するため、2023年初めに11万人いた従業員を、現在の10万3500 人に削減するなどのコスト抑制策を実施した。さらに、海運事業の価格見通しが悪化していることから、こうした対策を強化し、今後数か月で最大2500人、2024年にかけて残りの人員をさらに3500人削減する計画を発表した。これにより、全世界の従業員数は10万人を下回ることになる。これに伴い、リストラ費用総額は2月に発表した1億5000万米ドルから3億5000万米ドルになる見込み。

(イメージ)

海運部門では、取扱量が前四半期比で9%増加し、コスト重視の姿勢を貫いた結果、固定バンカー単価は前年同期比で11%減少した。しかし、特にアジア~欧州、北米、中南米航路の運賃圧力が大きく、EBITは2700万米ドルのマイナスとなり、前年同期の87億米ドルから減少した。

ロジスティクス&サービスの業務粗利益は35億米ドルと、前年同期の42億米ドルから減少した。同部門は、特に航空・運輸市場での価格下落の影響を受けたが、物量はほぼ前年並みに戻った。コスト管理の強化により、利益率は前四半期比で安定した。

ターミナル事業では、世界的な混雑が緩和する中、保管需要が減少し、取扱量が 4.1%減少したため、収 益は前年同期の 11 億米ドルに対して 10 億米ドルとなった。価格調整とコスト削減策が奏功し、業績は好調だった。投下資本利益率(ROIC)は10.3%に上昇し、2025年に向けて9%を超えるという予想を上回った。

従来は世界のコンテナ取扱量の伸びは-4%~-1%であったが、今後は-2%~-0.5%で推移すると予測。海運部門は市場と同程度の成長を見込んでいる。発表されたリストラ費用3億5000万米ドルについては、その大半が2023年に計上される。2023年と比べ、2024年には合計で約6億米ドルのコスト削減が見込まれる。

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LOGISTICS TODAY編集部
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