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野村不動産が体現する、新しいデベロッパーの姿

2024年1月31日 (水)

イベント2月20日、21日に開催されるロジスティクスソリューションフェア(LSF)に出展する野村不動産。老舗の国内物流デベロッパーとして揺るぎない地位を確立してきたのは、状況の変化を見越し、いち早く施策を打つ先見性とも言える。最近は物流デベロッパーという枠を超える動きもほの見える野村不動産が、LSFで何を打ち出すのか。野村不動産の出展を統括する藤崎潤氏に聞いた。

▲野村不動産都市開発第二事業本部物流事業部事業企画課長の藤崎潤氏

スペース以外の課題解決を通し、物流の未来を作る

野村不動産といえば注目なのが、2025年3月完成予定の「Landport横浜杉田」(ランドポート横浜杉田)だろう。首都高湾岸線・杉田インターチェンジ(IC)から680mという交通至便な立地。金沢シーサイドライン・南部市場駅から270mと通勤しやすく、倉庫人材も集めやすそうだ。

▲「Landport横浜杉田」の完成イメージ

中でも目玉は、完成時点で導入される立体自動倉庫。小割りでのシェア使用ができ、従量課金制で使った分だけ賃料を払う方式も採用。LSFでは料金体系の公表も行われる。Landport横浜杉田の模型など、物流デベロッパーらしい展示は行うが、それが全てではないという。

「これまで物流デベロッパーは、荷主、元請けのスペースの課題しか解決してきませんでしたが、それだけで物流の未来が作っていけるのかどうか。こうした問いかけに対し、数年前から野村不動産が行ってきた施策を大きく盛り込んだ展示を行います」(藤崎氏、以下同)

(イメージ)

確かにLandport横浜杉田はあらかじめ自動倉庫を組み込んであり、スペースを提供するだけの倉庫からはさらに踏み込んだ施設になっている。

「荷物を置くためのスペースを用意するというのは物流においては必須のことですが、これは言ってしまえばとても原始的ともいえる要素で、人間の欲求であれば食欲を満たすようなもの。人間が成熟すると芸術やエンターテイメントなどが要求されるように、より文化的なものが必要とされてきます。物流においても、単に荷物の置き場所を用意するだけではなく、一歩進んでよりきめ細やかなものを用意するべき段階にきているのではないでしょうか」

藤崎氏の言う「一歩進んだ」物流の答えの1つが、前述のLandport横浜杉田だ。完成時点から自動倉庫を導入し、荷主が設備を用意しなくても自動化、省人化された倉庫を利用することができ、しかもそれをパレット単位などの小割りでシェア利用できるのが大きな特徴だ。「荷物を置くためのスペース」からさらに踏み込んだ物流拠点となっている。

▲自動倉庫部分を小割りできるようにすることで繁閑に合わせた運用が可能に(クリックで拡大)

「2024年問題で物流業界がリソース不足なったら、物流に留まらず日本の経済が滞ってしまいます。解決のためには合理化、自動化、省人化が必要ですが、特に中小企業にはそこに投資をするというリスクを取れないというところも少なくありません。物流業界においては不動産業は比較的投資余力のある業種です。であれば、我々デベロッパーがリスクを取るべきだろう。そういう思いから作られたのがLandport横浜杉田です」

「テクラムハブ」から生まれる、物流の協業

Landport横浜杉田には自動倉庫が用意されているが、そのほかにもバース管理システムなど多彩なオプションが付けられるようになっており、このサービスもLSFでお披露目になるそうだ。

こうした新しいスタイルの倉庫を作り始めることができた原動力の1つが、Landport習志野の中に設けられた「テクラムハブ」。テクラムハブは倉庫管理システム(WMS)、ロボティクス、物流関連クラウドサービスなどの物流に直結した企業をはじめ、センシング、リースやファイナンスといった多様な業種が集まる協業コンソーシアムだ。スペースを用意する野村不動産を軸に、さまざまなソリューションを持つ企業が集まることで、横浜杉田のような倉庫の構想が生まれた。

▲「Landport習志野」内にある「テクラムハブ」

こうした企業は単に野村不動産が自社倉庫の建造に利用するためだけに集められているわけではないという。

「他社の倉庫でも荷主の自社倉庫でも、自動化をしたいという企業があれば、テクラムハブのソリューションを提供しています。テクラムハブにはWMSを提供する企業だけでも5社が参画しており、比較検討が可能ですし、Landport習志野では実際にそれらが稼働しているところを見てもらうこともできます。システムにせよロボットにせよ、扱う荷物や倉庫の規模によって何を選ぶのがよいかは変わってきますし、それぞれの組み合わせの最適解も違ってきます。さまざまなソリューションをワンストップで比較検討できるのが、テクラムハブです」

▲テクラムハブのソリューション開発ゾーン

多くの自動化ソリューションなどでは、メーカーであれば自社製品のみ、代理店でも1社の製品しか扱っていないというケースがほとんどだ。比較をするためにはそれぞれのメーカー、代理店に問い合わせるしかないが、それを一度に複数比較しながら選べるというのは、希少な場といえるだろう。

2024年問題や労働者人口の減少が取り沙汰されるようになり、大手の物流企業は倉庫管理システムやロボット、自動倉庫などを導入し、効率化と省人化を着々と進めている。一方で、投資する資本が乏しい中小運送業者ではなかなか自動化などの機材導入が進んでいない。

「自動化ソリューションは投資金額が事業規模に対して大きいため、導入したいけれど踏み切れないという声も多く聞かれます。ここで効いてくるのが、テクラムがさまざまな企業が参画するコンソーシアムである、ということ。テクラムには物流に関する機材やシステムを作っている会社以外にも、リースやレンタルを扱う企業や、ファイナンスを扱う企業も参画しているので、使ってみたい機材を、これらの企業を通してリースし、短期間だけ試用してみるという利用の仕方も可能です」

会場の野村不動産ブースでは、テクラムに参画する75社の紹介が行われ、同カテゴリーのソリューションの比較、検討の相談にも乗ってもらえる。

▲LSFでの野村不動産展示ブースイメージ

「テクラムハブにはさまざまな物流会社、荷主企業などから、『自社倉庫のこうした課題を解決できないか?』という相談が寄せられています。これまでは野村不動産がそれをとりまとめ、月1回の定例ミーティングで参画企業に提案を募るという形を取ってきましたが、これはいささかスピード感に欠けるやり方といえます。現在は、寄せられた相談をリアルタイムに参画企業間で共有し、即時に解決できる企業とのマッチングを行うシステムを構築中です」

会場ではこうしたシステムの一端を展示。来場者が持つ、倉庫システム作りの課題を受け付け、それを解決できる参画企業とのマッチングを無料で行うという。自社倉庫の実情に沿った具体的な相談から、「現在の自動化についての概要を知りたい」などのざっくりとした相談であっても受け付けてくれるという。これまで自動倉庫導入を現実的な問題として捉えてこなかった中小の倉庫業者、運送業者も足を運んでみる価値があるのではないだろうか。

「テクラム」「横浜杉田」の先に見る、物流の未来

「Landport横浜杉田はテクラムでもご一緒しているIHIグループ様との協業の仕組みがあったからこそ生まれた新しいスタイルの倉庫です。しかし、テクラムはまだまだ参画企業が増え続けていますし、今後、今までにない業種、業態の企業の参画があれば、新しいシナジーが生まれる可能性があります。そのシナジーを元に、さらに新しい物流倉庫が生まれるかもしれない。そんな、これからも発展し続ける野村不動産の現在地点を、ぜひLSFの会場でご覧下さい」

「ロジスティクスソリューションフェア2024」概要

会期: 2024年2月20日(火)~21日(水)、10時〜17時
会場:東京ビッグサイト(東京国際展示場)西4ホール
来場方法:公式ウェブサイトでの「来場事前登録」が必要(無料)

ロジスティクスソリューションフェア2024公式ウェブサイト
「Landport横浜杉田」概要

所在地:神奈川県横浜市金沢区昭和町3174
敷地面積:7万1035平方m
延床面積:16万3484平方m
構造・規模:柱RC梁S造、免震、地上4階建て、ダブルランプ型
アクセス:首都高湾岸線・杉田ICから680m、金沢シーサイドライン・南部市場駅から270m
完成:2025年3月末(予定)

▲広域周辺図(クリックで拡大)

「テクラムハブ」概要