ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

遠隔点呼カメラのスタンダード、セーフィー

2024年5月14日 (火)

話題2024年問題による物流リソースのひっ迫への対応として、政府は運送業者の管理業務の規制緩和策を実施している。2022年からはICT(情報通信技術)機器を使った遠隔点呼が可能になった。業者をまたいだ運行管理も試験運用が進んでおり、広く実用化されるのも間近となっている。運行管理者が遠隔で業務を行う上で必要となるのが、カメラやモニターなどの映像機器である。遠隔での点呼やアルコールチェックを行うシステムの多くではSafie(セーフィー、東京都品川区)のクラウドカメラが採用されている。多くのシステムに採用され、利用される理由は何なのか。セーフィーに聞いた。

なぜ多くの企業はセーフィーを選ぶのか?

セーフィーの製品は点呼などの運行管理業務に関するシステムに採用されていることから、配送の現場を担う運行管理者やトラックドライバーであれば目にしたこともあるかもしれない。しかし実は、物流業界ではもっと広く、例えば倉庫の防犯などですでに導入が進んでいる。そのほかにも小売、飲食、医療、建設、製造など多くの業界で利用されており、遠隔点呼などでの利用はむしろ後発の領域といえる。

セーフィーのクラウドカメラはすでに23.4万台が利用されており、クラウドカメラのシェアは6割近くだというが、なぜこれほどまでに選ばれるのだろうか。

▲セーフィーの其田宙太郎氏

「toB向けの業務用防犯カメラとしてはリーズナブルであることは大きな要因といえます」そう語るのはセーフィーの其田宙太郎氏。「業務用カメラとしては安く導入することができるうえ、クラウドへの映像アップロードをワイヤレスで運用もでき、配線工事の手間もコストも不要。また、映像はクラウドに保存されるため、ローカルに映像データを保存するためのレコーダーを設置する必要もなく、大きな投資をすることなくすぐに運用を開始できます」

遠隔点呼システム導入の際に工事レスでカメラを設置可能、点呼システムに紐付けられた点呼時の映像は自動的にセーフィーのクラウドに保存されており、法規制変更等に応じて柔軟にストレージ領域を変更できる。セーフィーが提供する代表的な機種である「Safie One(セーフィー ワン)」は簡単なネジ止め等で設置でき、利用者自身が設置作業を行えるため導入が簡単。また、機材自体も非常に軽量で、天井や壁など場所を選ばず設置ができるため、事業所の間取りやレイアウトに応じた設置の自由度の高さも魅力の1つといえる。遠隔での点呼やアルコールチェックの機材やシステムは各社からリリースされているが、それらの製品と組み合わされるカメラとして選ばれるのは、こうした取り回しのよさも大きな要因といえる。

▲セーフィーの中原航氏

導入コストも安く、設置も容易だが、セーフィーの中原航氏によると「クラウドカメラやサービス全体の高いセキュリティも選ばれる大きな理由」だという。「セーフィーのカメラはクラウドカメラですが、セーフィーのクラウドでは高い安全性、セキュリティ性を担保しています。これがセーフィーのソリューションのコアな価値の一つだと考えています。この信頼できる安全性があるからこそ、多くの企業から安心して選んでいただけている」のだという。

ごまかしが利かないからこそ担保される「安全」

セーフィーが遠隔点呼向けに提供しているカメラはクラウド上にデータを保存するクラウドカメラだ。もちろん、遠隔点呼用に使うカメラは必ずしもネットワークに接続している必要はなく、自社内にデータを保存するという旧来のシステムでも遠隔点呼自体は行うことができる。しかし自社のパソコンなどに映像を保存しておくという運用は、自分でデータを管理する手間がかかるほか、誤消去をしてしまうリスクもある。

▲クラウド録画サービス概要(クリックして拡大)

「データを消してしまうことができるなら、都合が悪いときの映像は削除してしまう、点呼やアルコールチェックを省略してしまうということも起きるはず。そういう偶発的な事象を排除できないシステムは、結局のところ安全を担保できないリスクを抱えてしまうのではないか」(中原氏)

これはセーフィーに限らないが、クラウドカメラは撮影すれば自動的に映像はネットワーク上のクラウドにデータとして保存される。そのため、管理者以外の手によって映像削除されてしまうということはなく、ごまかしの利かないシステムといえる。ごまかしが利かないシステムだからこそ、間違いなくアルコールチェックが行われることにもなり、結局は原則を愚直に守っていけるフールプルーフなシステム、製品こそが安全を担保していくのだろう。

クラウドだからこそ低減できる、企業が抱えるリスク

セーフィーでは企業のオフィスや店舗、建設現場、倉庫などに設置するクラウドカメラを提供しており、現在23.4万台のカメラがすでに設置されている。こうしたカメラには多くの建設作業員や倉庫スタッフ、ショップ店員などが映り込むだけでなく、不特定多数の来店者も映り込むことになる。企業が主体的にそうしたデータを保守する姿勢は一見立派ではあるが、手元にデータを置いて管理している限りは流出のリスクはゼロではない。「例えば倉庫であれば、映像に顧客の関係者や荷物が映り込みますし、店舗では来店者、工事現場では通行人が映り込むことは避けられません。こうした映像が流出することは大きなリスクとなりますが、セーフィークラウドにデータを保存することで、映像データが暗号化され、これらのリスクを低減することができます」

セーフィーのクラウドカメラは無線環境ならば、電源さえ確保できればデータを転送する有線ケーブルを配線する手間もなく、データを保存するストレージを用意し、管理することなく運用を開始することができる。これらはユーザー側としてみれば導入の障壁が極めて低いことを意味するが、それはまた同時に、映像データ流出のリスク低減を実現させるという機能的な側面もあるといえる。

▲ショールームに展示された各種クラウドカメラ

クラウドカメラで「EC万引き」を防ぐ!

コロナ禍を経て普及が著しいEC(電子商取引)においてもクラウドカメラが活躍している。ECでは、商品が破損していた、あるいは同梱されていなかったなどのトラブルがよく起きるが、中には再販価値の高い商品をより多く手に入れるために、悪意を持ってクレームを付けてくる「EC万引き」と呼ばれるケースも少なくない。
EC万引きへの対応策として、倉庫では検品・梱包の際の中身を画像や映像として記録するなどの対策を講じるケースもあるが、ただ映像を録画しているだけでは、クレームがあった際に対象となる荷物の映像を探すのに非常に手間と時間がかかるという問題がある。セーフィーでは、出荷のデータとクラウドカメラの映像を紐付けることにより、WMS(倉庫管理システム)上で当該荷物を指定すると即座に映像を閲覧することも可能だ。

クラウドカメラと物流の未来

▲セーフィーを活用したモニター管理室例(写真協力:ナブアシスト)

クラウドカメラの強みは導入が簡単で、撮影した映像を離れたところからでも確認可能なうえ、複数の担当者で共有できること。例えば建設現場の様子を中央管理センターで確認しつつ、個別の箇所で起きたトラブルについては、現場担当者がウェアラブルカメラで撮影、本部と現場で連携しながら対応するなどの使われ方をしているという。
「もともと建設業界や小売サービス業界でこうした使われ方をされていましたが、物流業界でも、いくつかの企業で同じような使われ方でクラウドカメラが広まりつつあります」(其田氏)

例えば点呼の高度化・一元化が進む近い将来において、各点呼拠点にセーフィーを設置し中央の管理センターで一元管理していくような体制が求められてくるかもしれない。
以前はスマートフォンやパソコンにインストールして利用していた機能が、近年はクラウドのサービスを利用することが増えてきている。映像の分野においてもこうした「クラウド化」の波が押し寄せ、複数の人が同時に同じデータを扱うことができるなどの利便性が高まるとともに、オフラインのデータ管理が不要になることによって安全性も高まっている。映像が便利で安全に扱えるクラウドカメラは、これからさらに物流業界に浸透していくのではないだろうか。