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TNT、大規模なリストラ断行、欧米事業に集中

2013年4月2日 (火)

ロジスティクスオランダのTNTエクスプレスは2日、2015年までに収益改善を図る経営戦略「Deliver!」の詳細を発表した。中国とブラジルの事業を売却するプロセスを進め、共同運航契約、サブリース、リースの停止など、大陸間航空輸送を縮小する選択肢を模索するとともに、欧州で中小企業、配送元が単一の顧客、重量の重い小包、パレット貨物のエクスプレス・サービス、エコノミー貨物、海外、スペシャルサービスをターゲットにしていく。

厳しい貨物取扱状況と継続的な価格圧力に直面していることから、特に欧州での競争上の優位を活用し、ビジネスをより効率的に展開するための広範な施策を実施するもので、4つの優先事項を軸に策定した。

具体的には、(1)中国とブラジルの国内事業の売却を通じてポートフォリオを再構築し、固定化された大陸間航空輸送を縮小する(2)TNTエクスプレス特有のサービスに注力し、最も収益率の高い分野を成長させる(3)組織をスリム化し、コスト効率を高めることで、業務遂行能力を強化し、2015年までに収益を2.2億ユーロ改善させる(4)インフラストラクチャとビジネス支援、顧客向けITに投資する——といった4施策を軸に取り組む。

TNTエクスプレスのバーナード・ボット暫定CEOは「当社は、厳しい市場と戦略的に困難な状況に直面している。ポートフォリオの再構築、組織のスリム化、業務、サポートプロセスの効率化といった措置を直ちに講じていく。また、生産性を向上させるインフラストラクチャ、顧客サービスを高めるITソリューションに投資していく」と説明している。

また、15年までに2.2億ユーロのコスト削減を達成するため、管理を簡素化する共同サービス・センターの設立などサービスの集約、デポとハブを特定の国・地域に集約させるといったインフラの最適化、デポの構成、プロセスを変更することで仕分けや積載作業を最適化するなど生産性の向上に注力するとともに、間接的なコストの削減を実施する。

これらの改革に取り組む新しい管理体制の中核は、組織全般に責任を負う経営委員会とグローバル機能委員会となり、従来の地域体制は一度解体する。オーストラリア・ニュージーランド、ベネルクス諸国、フランス、新興国、欧州・南北アメリカ、ドイツ、イタリア、英国・アイルランドの新しい事業部門は、今後は直接CEOの管理下に入ることになる。

TNTエクスプレスの収益改善戦略では、今後3年間で組織全般にわたる4000人の従業員に影響を及ぼすことが予想されることから、同社では「体制の変更による結果と最適な解決策は、従業員、労使協議会、労働組合と十分に協議していく。2015年までに、1.5億ユーロのリストラ費用を想定している」としている。