環境・CSR三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、モーダルシフトに向けた実態調査をまとめた。全国の貨物流動量を43億8800万トン、このうちモーダルシフト対象の貨物量を7.7%に相当する3億3600万トンと定義。モーダルシフトがすでに行われている現状の「モーダルシフト化率」は17.1%と算出した。貨物量は3大都市圏を発着地とする区間で多く、九州発着が39-40%、関東発着が14-15%、近畿発着が13%、中部発着が7-8%だった。
荷主企業に対し、今後数年間でモーダルシフトを進めたい貨物量を鉄道、船舶輸送別に調査したところ、鉄道輸送で6.7%、船舶輸送では7.8%のモーダルシフト化率の向上が期待できる結果となり、すべて実現されればモーダルシフト化率が全体で31.6%に達する計算となる。
一見視界良好にも見えるが、リードタイムや事業継続性、輸送コスト、輸送能力、輸送品質、効率性など、鉄道輸送や船舶輸送がトラック輸送の代替輸送手段として相応のメリットが得られるかどうか。現状の荷主企業の見方は厳しいようだ。
モーダルシフトを阻害する要因の調査で、最も多く挙がったのは「輸送スケジュール」で、鉄道輸送では81%、船舶輸送でも59%と、いずれもほかを大きく引き離した。集配、積み替えに伴いトラック輸送よりリードタイムが長くなる場合があることや、ダイヤが輸送スケジュールと合わないことなどが課題として上げられた。続いて多かったのが「輸送の安定性」で、鉄道輸送で44%、船舶輸送で37%だった。悪天候による運休・遅延のリスクや、輸送障害時の復旧の遅さを懸念する声が上がった。
特に鉄道輸送については、「トラックに対するコスト競争力がない」(42%)、「振動や温度管理の問題から荷傷み、品質劣化が生じるなど」(32%)、「従来の荷姿・販売単位などが鉄道輸送に合致しないなど」(31%)といった要因の回答率が船舶輸送より10%以上高くなっている。
鉄道輸送の活用促進策としては、国内で代表的な12フィートコンテナ以外にも、31フィートや40フィートコンテナなど大容量コンテナを利用できる区間や列車の拡大、インフラの整備、貨物駅での荷役作業効率化、輸送障害時の補償制度の充実などが上がった。
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