調査・データ産業用ドローンの開発を手掛けるエアロネクスト(東京都渋谷区)は6日、ドローン配送事業の子会社、NEXT DELIVERY(ネクストデリバリー、山梨県小菅村)とともに、和歌山市でレベル3.5飛行の実証実験を行ったと発表した。運行ルートには人口集中地区(DID)が含まれており、DIDを含むルートでのレベル3.5飛行は日本初だった。
実証実験は4日に行われ、和歌山市内のDIDにある宇都宮病院から、4.3キロ離れた市郊外の「道の駅 四季の郷公園FOOD HUNTER PARK」まで地元食材を使った薬膳弁当を配送した。
飛行ルートのうちDIDは250メートルで、運航には同社が開発した物流専用ドローン「AirTruck」(エアートラック)が使われた。ドローンは宇都宮病院調理施設内からの自動遠隔運航によって、弁当を10分かけて配送し、道の駅の駐車場に荷物を下ろした後、病院に帰還した。
レベル3.5運行は、離島や山間部など無人地帯での目視外飛行(レベル3)の一つで、機上のカメラによって歩行者などの確認ができ、無人航空機の操縦ライセンスの保有や保険の加入などの条件を満たす場合に限り、補助者や看板の配置といった立入管理措置が緩和される。これによってドローンの運用コスト削減と業務の効率化が期待できる。
これまでは、国土交通省の航空局標準マニュアルに基づき、DIDではレベル3.5飛行ができないことになっていたが、マニュアルが10月29日に改正され、徹底した安全対策を講じればDID地区でもレベル3.5飛行が可能になった。
今回の配送先となった道の駅では、同病院の調理施設で作られた弁当が販売されており、周辺のスーパーの撤退が続いていることもあって、高齢者の人気商品となっている。しかし、人手不足で道の駅への配送が滞りがちになっており、ドローンによる定期配送で、買い物弱者への支援と地域経済の活性化を図ることになった。今回の実証実験は、和歌山市スマートシティ実証実験サポート事業に採択されている。

▲離陸前の物流専用ドローン”AirTruck(出所:エアロネクスト)
同社は実証実験の結果を受けて、今後、病院と道の駅の間の定期配送の実現に向けた検証を進めていく。
同社では「今回の取り組みは、買い物弱者問題、物流停滞など全国の自治体が抱える共通課題の解決につながる標準モデルとなりうる。また、病院を起点としたドローン配送網の構築は、医薬品や検体・血液・処方薬の迅速輸送など地域医療への展開も期待できる」などとしている。
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