ロジスティクス自民党トラック輸送振興議員連盟(トラック議連)は6日、参議院会館で総会を開催した。会には、連盟に加入する議員のほか、全日本トラック協会会長の寺岡洋一氏、名誉顧問の坂本克己氏、各都道府県協会の会長、国土交通省職員などが参加した。

▲自民党トラック輸送振興議員連盟総会の様子
加藤会長「暫定税率の廃止を確実に」
自民党トラック輸送振興議員連盟会長の加藤勝信氏は、燃料課税の見直し状況について説明。暫定税率の廃止が政党間で合意され、ガソリンは12月末をめどに段階的に値下げし、最終的に廃止される方向で進んでいるとした。

▲自民党トラック輸送振興議員連盟会長の加藤勝信氏
軽油引取税については、「軽油は地方税だが、現行10円の軽減措置に加え、残り7円分を2回に分けて下げ、最終的に暫定税率をなくす方向で進めている。地方税の関係で4月1日の廃止を目指して調整中だ」と述べ、具体的な工程を示した。
また、地方自治体に交付されている暫定税率分の交付金について、「地域のトラック事業者にとって重要な財源であり、当面は確保しつつ、制度改正のなかで新たな仕組みを構築する」とし、税収減による影響の回避に意欲を示した。
坂本名誉顧問「価格転嫁と交付金制度の維持を」
全ト協の坂本克己名誉顧問は、価格転嫁の遅れと交付金制度の維持を最重要課題として挙げた。
「運賃や料金を正当に受け取ることは、ドライバーの労働環境を改善し、生活を守るために欠かせない」と強調。中小企業を対象とした調査では、主要30業種のうちトラック運送が最も価格転嫁の進んでいない業種だと指摘し、「本来受け取るべき対価が届いていない。発荷主からしっかりと正当な運賃を受け取る意識を徹底する必要がある」と訴えた。

▲全日本トラック協会の坂本克己名誉顧問
さらに、軽油引取税の暫定税率分に関連する交付金制度について、「ドライバー教育や安全対策の推進にも活用されており、国民生活を支える重要な財源だ。新制度が整うまでの間は、この交付金を確実に維持してほしい」と述べ、地方経済と生活基盤を支える制度の継続を求めた。
加えて、高速道路利用の重要性にも言及。「ドライバーの労働時間を適正化し、定時運行を実現するためにも高速道路の活用は欠かせない」とし、「安全と環境の両面からも、高速道路の利用を後押しする政策をお願いしたい」と述べた。そして「健全な物流があってこそ、国民の暮らしを支えることができる」と強調した。
国交省、物流革新と環境整備の方針を説明
総会では、国土交通省から物流・自動車局、大臣官房、道路局の3部局から、行政の取り組みについての説明が行われた。
物流・自動車局は、厳しい経営環境が続くなかで「経済対策の中核に“物流革新”を据え、持続可能な輸送体制の構築を進める」と方針を示した。長距離運行の効率化と労働時間規制への対応に向けて、基幹物流拠点の整備や関連する法制度・税制措置を検討していると述べた。

▲トラック議連副会長の片山さつき氏
大臣官房からは、トラックドライバーの労働環境が全産業平均に比べて長時間・低賃金であり、価格転嫁率が30業種中27位にとどまっている実態が示された。暫定税率廃止による財源を処遇改善に充てる重要性や、運輸事業振興助成交付金制度の維持・見直しの必要性が強調された。
さらに道路局は、高速道路網の整備や休憩マス拡充の進ちょくを説明。7年間でトラック休憩マスを4000台分増設し、2024年度も新たに500台規模で整備を進めているとした。大口・多頻度割引制度の継続を次年度の事項要求として盛り込み、「利用しやすい道路ネットワークづくりを進める」と述べた。
議員から交付金維持や価格転嫁強化などの意見
国交省の説明を受け、出席議員からは活発な意見と要望が寄せられた。多くの議員が共通して訴えたのは、運輸事業振興助成交付金の維持である。「制度が新たに整うまでの間は継続してほしい」「地方経済や物流基盤に欠かせない財源だ」との声が相次いだ。
また、価格転嫁の徹底を求める意見も多く、「適正運賃を確保できなければ、賃上げも働き方改革も進まない」と指摘。国交省主導による荷主指導の強化を求めた。さらに、高速道路の大口・多頻度割引制度の継続・拡充や自動運転支援技術の導入支援など、労働時間削減と安全確保に資する施策を求める声も上がった。
これに対し、国交省は「制度の必要性を財務当局に訴えていく」と応じ、全国360人体制での合同パトロールや集中監視月間を実施していると説明。「違反行為の抑止と指導を強化し、現場の是正を進める」と述べた。
暫定税率廃止など3項目を決議、片山副会長・寺岡会長が挨拶
質疑応答を経て、議連事務局より決議文が読み上げられた。決議では、トラック運送業が国民生活や産業活動を支える公共的サービスとして重要な役割を担っていることを前提に、「軽油引取税の暫定税率廃止の早期実現」「運輸事業振興助成交付金制度の維持」「高速道路料金の大口・多頻度割引措置の継続」の3項目を明記した。

▲全日本トラック協会の寺岡洋一会長
特に交付金制度については、「安全対策や法令順守、災害時輸送など、50年にわたり公共性の高い取り組みに寄与してきた。新たな支援制度が構築されるまでの間は現行制度を維持する必要がある」と強調された。
決議採択後、財務大臣でトラック議連副会長の片山さつき氏が登壇し、「3項目の決議を重く受け止め、皆様と共に実現に向けて尽力する」と述べた。
続いて、全ト協の寺岡洋一会長が閉会のあいさつに立ち、「国交省からも力強い決議文をいただき、大変心強く思う。今後とも全ト協へのご指導とご支援をお願いしたい」と述べ、会を締めくくった。(土屋悟)
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