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リチウムイオン蓄電池を一般倉庫で容量制限なく保存可能に

Lib-BOXで実現、リチウムイオン電池保管の新常識

2024年10月2日 (水)

話題「リチウムイオン蓄電池は、一般倉庫で、容量の制限なく、 効率的に保管することが可能」と、親和パッケージ(神戸市東灘区)の重実敬之社長は語る。それこそがことし7月に改正されたばかりの新常識だと聞けば、驚く人も多いのではないだろうか。

リチウムイオン蓄電池保管の基準が変わった、新常識に更新を

危険物倉庫へのニーズの高まりと比べて、その供給は増加しない。開発地の制約や建築にかかる規制、その特殊性による開発コストの高さなど、今後も大幅な増加は見込めないとする声は大きい。

リチウムイオン蓄電池に含まれる電解液も引火性液体であるため危険物に分類され、今後の需要拡大に対応する保管場所の確保は、物流のみならず日本の産業界全体での大きな課題となる。モバイル電化製品などに不可欠なリチウムイオン蓄電池の国内生産量、販売量、さらに輸入量は急拡大し、特にEV(電気自動車)市場は、カーボンニュートラルに向けての国家的な取り組みとして強力に推進される。消防庁でリチウムイオン蓄電池の危険物規制の見直しが検討されてきたのも、こうした社会的要請に基づく変化と言えるだろう。

▲(左から)親和パッケージの重実敬之社長、渋谷昌宏・新商品開発室室長。背後にあるのが「Lib-BOX」

同社の開発したLib-BOX(リブボックス)は、この新しい規制に基づいたリチウムイオン蓄電池専用の保管ボックスであり、「リチウムイオン蓄電池の増産と保管の新規制に対応する提案となる」と、新商品開発室の渋谷昌宏室長は言う。

まずは、リチウムイオン蓄電池保管に関する「新常識」を理解しておくことが必要だろう。ことし7月の法規制見直しで何が変わったのか。「専用保管ボックスの性能要件が定められたことが一番の変化。それにより、要件を満たすボックスごとの隣接保管の制限がなくなり、段積み保管も条件付きで可能となった。Lib-BOXにリチウムイオン蓄電池を収納すれば、一般倉庫内で容量制限なく効率的にリチウムイオン蓄電池の保管ができることとなった」(渋谷氏)

リチウムイオン蓄電池保管の最前線のノウハウが結実したLib-BOX

▲「Lib-BOX」では段積み保管も可能

Lib-BOXは、新規制で耐火性収納箱として求められる耐火試験(遮炎性能、断熱性能)、強度試験(振動、衝撃、圧縮、傾斜安定性)の要求条件を満たし、消防法に基づく認証機関であるKHK(危険物保安技術協会)より、危険物容器として認証を受け「KHKマーク」を取得した。「今回の改正では耐火性収納箱の耐火性能、強度など容器性能の基準が定義され、その要件を満たす専用箱に収納すれば、隣接設置や段積み可能など、より効率的な保管が可能になった。行政としても、安全を確保しながら、より多くのリチウムイオン蓄電池の保管スペースを確保するための見直しとも言える」(重実氏)

リチウムイオン蓄電池の電解液は、引火性液体(第4類の危険物)のため、指定数量1000リットル以上の屋内収納では、危険物倉庫での保管が必要だった。しかし、指定数量の5分の1未満(すなわち電解液200リットル未満)の単位で、耐火性収納箱に収納することで、1箱ごとの指定数量が合算されないため、容量制限なく一般倉庫内での保管が可能となった。リチウムイオン蓄電池保管のための危険物倉庫探しや、さらに危険物取扱責任者の設置が不要になる新常識を、知っているのと知らないのでは大きな違いとなる。安全を確保しながら、より多くのリチウムイオン蓄電池の保管スペースを確保するための規制見直しに、いち早く対応したツールがLib-BOXと言えるだろう。

▲リチウムイオン蓄電池の電解液保管にLib-BOXを採用することで、新規制の下では一般倉庫で容量制限なく保管が可能となる(クリックで拡大)

また、これまで品質保証のある新品のみが専用箱での保管が可能だったが、新たな規定では耐火性収納箱であれば中古品や破損品の貯蔵も可能となる。これまで危険物としてのリチウムイオン蓄電池保管・流通に苦労していた事業者が、新基準に基づいた戦略の見直しが可能となるとともに、静脈物流におけるリサイクル、再製品化など、新たな事業を生み出すきっかけにもなるのではないか。

7月2日に改正されたばかりの法規制だけに、まだまだ新常識への業界の理解も追いついていない状況だ。それだけに新常識をいちはやく企業戦略に取り込むことは、他社に先んじるチャンスとも言える。同社がこれほど早くこうした対応ソリューションを打ち出し、特許取得、市場展開できたのは、これまでのリチウムイオン蓄電池の安全保管の取り組みを通じて、消防庁へのデータ提供など最前線で対応してきたことが大きい。重実氏は、「今後もリチウムイオン蓄電池の保管・流通に関しては、経済や社会的要請に応じた変更も予定されるが、そうした変化にもいち早く対策を提示できるように今後も取り組んでいく」と言い、それこそが同社のスチール輸送容器メーカーとしてのパイオニア精神の源泉と言えるだろう。

「Lib-BOX」概要

■リチウムイオン電池保管の新常識 「Lib-BOX」

■資料ダウンロード
https://media.shinwa-co.co.jp/lib-box/