調査・データ名古屋税関が19日に発表した貿易統計特集によると、名古屋税関管内の2024年のリチウムイオン蓄電池の輸出額が過去最高を記録し、全国の税関別シェアで初めて第1位となったことが明らかになった。カーボンニュートラル実現への貢献が期待されるなか、管内からの輸出動向に注目が集まっている。
24年の輸出額は過去最高を更新、5年前の9.3倍に
統計比較が可能な12年以降、リチウムイオン蓄電池の輸出額は増減を繰り返しながらも増加傾向にあり、24年には全国で5037億600万円、名古屋税関管内では1604億800万円と、いずれも過去最高を記録した。特に名古屋税関管内からの輸出額の伸びは顕著で、19年の輸出額と比較すると9.3倍に上昇している。
この背景には、全世界的なハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)などの需要拡大があり、比較的高価な車載用のリチウムイオン蓄電池の輸出増加が主な要因として挙げられる。
輸出先は北米、西欧、アジアが中心
24年の名古屋税関管内からの輸出先を金額ベースで見ると、北米が53%、西欧が32%、アジアが12%、そのほかの地域が3%となっている。国別に見ると、アメリカ、トルコ、英国、カナダの順でシェアが高く、北米・西欧向けが輸出全体の97%を占める。特に北米向けの輸出額は近年大幅に増加しており、19年と比較すると225倍となっている。
全国シェアで初の第1位、名古屋港が輸出額で貢献
全国の税関別に見ると、24年のリチウムイオン蓄電池の輸出額において、名古屋税関が32%のシェアを獲得し、初の首位となった。神戸税関、大阪税関がそれぞれ21%で続いている。港別に見ると、名古屋港が31%と最も高いシェアを誇り、神戸港(21%)、大阪港(14%)がそれに続く。リチウムイオン蓄電池は安全性の観点から海上輸送が主流であることも特徴の一つだ。
脱炭素化の流れでさらなる需要拡大に期待
リチウムイオン蓄電池は、自動車用途に加え、家電製品や工作機械、エネルギー貯蔵など幅広い分野で技術の要となっており、世界的な脱炭素化の流れを背景に、今後も需要拡大と輸出額の増加が期待される。一方で、安価で粗悪な製品も市場に出回っている現状を踏まえ、高い生産技術を持つ日本が世界シェアを拡大するためには、ユーザー側の適切な使用方法の理解も重要となる。名古屋税関管内からの輸出の大きな特徴である車載用バッテリーは、自動車業界における排ガス規制や燃費向上への要求の高まりから、今後ますます重要な役割を果たすと見込まれる。
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