行政・団体全日本トラック協会は3日、第29回全国トラック運送事業者大会を熊本市で開催した。開催ブロックである九州トラック協会、熊本県トラック協会が中心となり運営された今回の大会には、全国から1300人が参加。2024年問題など厳しさを増すトラック運送業界において、会員事業者の結束によって難局を打破する決意が示された。

▲全ト協の坂本克己会長
冒頭、協会の坂本克己会長は、「正直な業者が損をする、悪貨が良貨を駆逐する」状況を脱却するための物流改革の省庁横断的な取り組みの進展など、協会員一人一人が取り組み、声を上げたことが法改正や制度見直しにつながったと挨拶。エッセンシャルワーカーとしてのトラックドライバーが、「夢と希望と誇りを持って」業務に従事できる環境作りを、この大会をきっかけにより強力に推進していかなければならないと語った。
本会議では、2024年を物流革新の元年と位置付け、「商慣行の見直し」「物流の効率化」「荷主・消費者の行動変容」へ向けての取り組みが決議された。政策パッケージに基づく2024年問題への対応、標準的な運賃・標準運送約款の活用などによる適正なコスト収受等添加対策の推進、トラックGメンと調査員との連携による荷主対策の深度化、多様な施策による良質なドライバーの人材確保、飲酒運転の根絶、物流DX推進など、官民連携による魅力あるトラック運送実現のための10項目を決議し、取り組みを推進する。

▲国土交通省物流・自動車局の鶴田裕久局長
来賓として挨拶した国土交通省物流・自動車局の鶴田裕久局長からは、物流革新元年の取り組みを、本大会決議をもってさらに推進していくことへの期待が述べられ、トラックGメンへの情報提供などへの協力が呼びかけられた。また、木村敬熊本県知事は度重なる災害の復興における運送事業からの支援への感謝と、行政からも地域物流の活性化に向けた活動を進めることが語られた。

▲国土交通省物流・自動車局の三輪田優子貨物流通事業課長
大会の中で行われたシンポジウムでは、京都大学大学院工学研究科の藤井聡教授をコーディネーターに、官民、労働組合、消費者団体の有識者がそれぞれの立場からの24年問題への取り組みが紹介された。パネリストとして参加した国土交通省 物流・自動車局の三輪田優子貨物流通事業課長からは、改正物流法のポイントが解説されるとともに、運送事業においても来年4月からの施行が予定される実運送体制管理簿作成や契約書面の交付など、必要な備えについても語られた。三輪田氏は新政権になっても物流革新の取り組みが停滞することはないと語り、物流事業に向けてそれぞれの立場での施策を推進してもらいたいと訴えた。
また、歴史学者で東京大学史料編纂所教授の本郷和人氏による講演会では、歴史上の名称の言葉や戦国時代のリーダーの生き様や戦略などが解説され、物流危機という課題に直面する運送事業者にとっても、それぞれの事業活動に重ね合わせる機会となった。

▲がんばろう三唱で会を締めくくった
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