調査・データ帝国データバンク(TDB)は23日、出版業界の業績動向に関するレポートを公表し、「業績悪化」の企業の割合が66.1%になったと明らかにした。価格転嫁率は27.7%と全業種平均を大きく下回り、倒産や休廃業、解散した企業も2年連続で60件を超えた。
同社によると、2023年度決算の損益状況が判明した出版社675社のうち36.6%にあたる247社が「赤字」となり、構成比は過去20年で最大だった。前年度から「減益」となった29.5%を加えると、「業績悪化」の割合は66.1%に達し、過去最大となった。
価格転嫁への動きも他の業種に比べ遅れており、同社が昨年8月に発表した「価格転嫁に関する実態調査」では、出版社の74.9%が価格転嫁率50%未満だと回答。価格転嫁率は27.7%となり、全業種平均の44.9%を大きく下回った。
また、昨年1年間の出版社の倒産、休廃業、解散の件数は62件で、2年連続で60件を超えた。新型コロナ禍以降、企業に対する政府の支援策によって倒産などの件数が抑えられていたが、コロナ禍前の水準に戻った。
一方、電子出版は好調で、23年の販売金額は前年比6.7%増、昨年上半期は前年同期比6.1%増と堅調に推移している。電子出版の約9割は電子コミックで、アニメ化や実写化、ゲーム化などによって市場が拡大している。
全国出版協会・出版科学研究所によると、23年の紙と電子を合わせた出版物推定販売金額は1兆5963億円(前年比2.1%減)で、2年連続の前年割れだった。24年上半期も7902億円(前年同期比1.5%減)にとどまっている。
出版業界の売り上げは、1997年の消費税率引き上げで初の前年割れを記録し、その後はインターネットの普及や活字離れ、少子高齢化などに縮小が続いている。
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