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賃上げや働き方改革の取り組みが会社規模で二極化

2025年2月20日 (木)

調査・データNTTデータ経営研究所(東京都千代田区)は18日、景気回復へ賃上げが求められる中、企業規模によって社員の待遇が二極化しているとの調査結果を公表した。従業員の規模によって、賃上げの頻度や金額に差が見られたほか、能力開発・支援、働き甲斐の向上などの取り組みにも差があった。

同社は2015年から「働き方改革」に関する意識調査を実施しており、「ウェルビーイング(従業員の満足度、幸福度)」や「リスキリング(学び直し)」の取り組み状況についても調査している。24年度の調査では、過去2年間の賃上げの実施状況や満足度、会社への心情などへの影響についても聞いた。調査は昨年11月にインターネットを通じて実施。全国の20代から50代のホワイトカラーの正社員(経営者、役員含む)1080人から回答を得た。

過去2年間の賃上げの実施状況を従業員規模別に見ると、規模が大きい企業ほど賃上げを実施しており、従業員規模5000人以上の企業では、58.9%が「2年間どちらも」賃上げを実施したのに対し、4999人以下の企業等では、「2年間どちらも」の割合は半数以下にとどまった。最も低いのは99人以下の企業で、5000人以上の企業とは24ポイントの差があった。最も高い500-999人規模の企業でも47.6%だった。

賃上げ額も規模が大きいほど金額が多く、「1万円以上3万円未満」と回答した割合を見ると、99人以下の企業では5.6%、5000人以上の企業等では15.3%と3倍近い差があった。

また、会社に能力開発や支援の制度があるかどうかを尋ねたところ、「支援などはない」との回答は99人以下で73.7%だった一方、5000人以上の企業は36.0%と2倍近い差があった。

同社は、こうした賃上げや能力開発などの取り組みが、社員の会社への心情や満足度、幸福度に与える影響についても調査した。

賃上げがあったと答えた538人に、賃金が「物価上昇に対して追いついているか」、「自身の業務に見合っているか」などと尋ねたところ、その結果、「大いに感じている」「感じている」と回答した人の割合は、物価上昇に対しては15.8%、自身の業務に対しては19.7%にとどまった。「あまり感じていない」「感じていない」との回答はいずれも過半数を上回った。

一方、「働き方改革に取り組んでいる」と回答した481人に、会社への誇りや貢献したいという気持ち(従業員エンゲージメント)を感じているか尋ねたところ、「大いに感じている」「感じている」との回答は34.3%となった。これに対し「取り組んでいない」と回答した326人に同じ質問をしたところ、「大いに感じている」「感じている」は11.7%にとどまり、3倍近い差となった。「働き続けたいか(勤続意向)」についても2倍の差があり、賃金よりも働き方改革など労働環境の改善などのほうが、従業員の満足度や幸福度に影響を及ぼすことが分かった。

同社では「賃上げにとどまらず、働き方改革やリスキリングなどの取り組みで、二極化が生じていることが確認された。二極化は、人材の確保・定着における競争力の差となっていくと予想される」としている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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