調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は25日、EC(電子商取引)などの「無店舗小売業」の倒産が、2024年には169件と過去最多になったとするレポートを公表した。参入障壁が低く、事業者の増加で市場が拡大してきたが、競争の激化によって小規模で業歴の浅い新興企業を中心に倒産件数が増えている。
同社によると、無店舗小売業の倒産件数は前年の116件から1.5倍となった。「休廃業・解散」も261件で、前年の215件の1.2倍となり、過去最多だった。倒産と休廃業・解散の合計は430件で、過去最多だった前年の331件を99件上回った。
倒産した企業を負債規模別に見ると、5000万円未満が130件と76.9%を占めた。次いで、1億円以上5億円未満」の20件、「5000万円以上1億円未満」が19件だった。負債5億円以上はなかった。
従業員数も5人未満が153件と90.5%を占め、設立年数を見ても10年以内の倒産が64.2%となるなど、小規模で業歴の浅い新興企業に倒産が集中している。
市場拡大の波に乗って新規参入を図ったものの、販売不振などから事業が軌道に乗らなかったケースが多数を占めているという。
負債が最も大きかったのは、トリプルアート(東京都)の4億8000万円。中国向け越境ECサイト「masadora(マサドラ)」を運営し、日本のアニメやコミック、ゲームなどのキャラクターグッズを販売していたが、コロナ禍や採算の低迷で経営が悪化していた。債権者1万5000人の多くは、商品を購入した中国の個人客だった。
TSRは「市場の競合が激しさを増すなか、付加価値の提供が難しい小・零細規模の企業を中心に、今後も無店舗小売業者の淘汰が加速する可能性が高い」としている。
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