サービス・商品日立製作所は14日、部品の型名や素材、供給元の企業名などの部品供給情報と、ウェブサイトで一般に公開されている企業情報などを生成AIに入力し、製造拠点の情報を高精度に推定する「ディープインサイト推定技術」を開発したと発表した。自然災害やパンデミックなどに対する製造業のサプライチェーンを強靭化する。
近年、自然災害やパンデミック、地政学的な紛争など世界情勢の不確実性が増大しており、製造業ではサプライチェーンリスクの管理とレジリエンスの強化が課題となっている。このため同社は2023年4月から、東京大学デジタルオブザーバトリ研究推進機構とともに、サプライチェーンに影響を与える多様な要素をデジタルデータとして観測、分析し、リスクの予兆を早期に発見、対応できる技術の開発に取り組んできた。
ディープインサイト推定技術は、調達時の契約情報から得た所在地や部品情報を、製品を識別・分類・管理する際に使われる製品コード体系を用いて製品コードや付属情報に変換するとともに、生成AIで企業公式ホームページやISO認証情報、地図情報などのオープンデータから、製造拠点の候補となる情報を抽出。これらの情報で作成された中間リストに、一貫性や正確性を保証するための処理を加えることで、サプライヤーの製造拠点を緯度と経度のレベルで高精度に推定する。
同社グループ内で検証したところ、85%を超える精度でサプライヤーの製造拠点情報を推定できることを実証した。これまでは、地震や台風などで部品の供給が滞るなどの事態が発生した際、人海戦術で調達先の製造拠点情報の収集や絞り込み作業を行っていたが、この技術を使えば、自動的に情報の収集などが可能になる。
例えば地震発生時に揺れが大きいと予想される場所や、台風などによる河川の氾濫の予測情報、パンデミックや地政学のニュースなどと重ね合わせることで、調達先製造拠点の中からサプライチェーンリスクのある拠点を抽出し、在庫の積み増しや、代替調達先の調査を行うなどの対策を早めにとれるようになる。
今後も同社は東京大学と共同研究を進めるとともに行政や他企業とも連携して、サプライチェーンリスク管理システム・サービスの実用化を目指す。
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