調査・データ山口労働局は21日、山口県内の荷主企業を対象とした「物流2024年問題」に関するアンケート調査の結果を公表した。調査結果によれば、同問題を「理解している」と回答した荷主は全体の9割ほどであることがわかった。
調査は、24年4月にスタートしたトラックドライバーを対象にした時間外労働上限規制適用後の荷主の取組状況や課題を把握する目的で実施した。県内の製造業418社に調査票を送付し、311社から回答を得た(回答率74.4%)。
24年問題の理解度は、「知っており、十分に内容を理解している」「知っていて、ある程度内容を理解している」との回答の合計が89.2%となった。「時間外労働上限規制の適用」は73.3%が、「改善基準告示の改正」は68.6%が「知っている・理解している」と答えた。労働者数(規模)別に見ると、「物流2024年問題」と「時間外労働上限規制の適用」では、規模が大きくなるほど理解度が高い。「改善基準告示の改正」は「51人-100人」で59.7%とやや低いものの、概ね同様の傾向が見られた。
24年4月以降の物流面での影響についての設問には、「影響あり」との回答が59.2%。具体的な影響は、「運賃の見直し」が84.1%で最多。「輸送に係る所要日数の増加」(53.0%)、「入出荷の回数・時間の制約」(34.8%)と続く。
運送事業者からの相談は、70.8%が「あった」と回答。相談理由は「燃料費の高騰」が77.6%に上り、次いで「運賃原価の見直し」(56.6%)、「長時間労働の改善」(45.9%)、「従業員への賃上げ」(45.4%)となった。
相談への対応は、「協議の上、運賃を見直した」が81.1%。一方、「協議には応じていない」と「今後、協議を行う予定」を合わせると13.8%となり、一部で対応が進んでいない実情が窺える。
運送1回あたりの荷待ち時間は、「30分未満」が55.6%。荷待ちの原因は、「出荷(入荷)時刻が不規則であるため」(48.1%)が最多だった。「荷役部門の人手不足」(32.7%)、「手積み・手下ろし」(26.0%)、「集荷先が複数箇所」(21.2%)なども挙がった。
荷待ち時間短縮に向けた取り組みは、「ある」と「今後、実施予定」を合わせて70.8%。具体的には「出荷に合わせた生産・荷造り等」(52.6%)、「十分なリードタイムの確保」(34.7%)、「高速道路の利用」(31.6%)といった回答があった。
自由記述欄には、「予約システム導入で荷待ち時間を大幅に減少できた」という声がある一方、「得意先の納品時間指定がまちまち」といった課題を指摘する意見も。国の制度に対しては、「パレット化推進のための補助金導入」や「一般道路の整備加速」を求めている。また、「発送先の過度な要求」への対応に苦慮する声や、「リフト作業者も人材不足」といった声が寄せられた。
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