調査・データ帝国データバンク(TDB、東京都港区)は10月31日、経営再建が進められている日産自動車のサプライチェーン企業の実態調査の結果を公表した。サプライチェーン企業は全国に1万9141社あり、直近の決算で増収となった企業は40.4%、減収企業は32.4%だった。前期決算に比べ、増収企業の割合は8.3ポイント低下する一方、減収企業の割合は3.1ポイント上昇した。
調査は、日産の本社がある横浜市の帝国データバンク横浜支店が実施。保有するデータをもとに、日産自動車に対して部品などのモノやサービスを提供する周辺産業を「サプライチェーン企業」と定義し、調査・分析を行った。
同支店によると、日産自動車と直接取引を行う「Tier1」は1800社で、Tier1と取引を行う「Tier2」は1万2259社、「Tier3以降」は5082社となり、サプライチェーン企業の総数は全国で1万9141社に上った。
売上規模別では、最も多いのが「1億以上10億円未満」で9688社(構成比52.0%)、次いで「10億円以上100億円未満」の4040社、同21.7%だった。「1億円未満」の企業も3930社と21.1%を占め、10億円未満の企業を合わせると、全体の73.1%を占めた。
売上動向をみると、日産自動車の本社がある神奈川県内のサプライチェーン企業の収益悪化が目立つ。前期から直近決算にかけて増収した企業の割合は40.6%で前期比10.3ポイント低下した。一方で減収企業の割合は31.8%で同3.8ポイントの上昇だった。また、全国のTier1の売上動向をみても、直近決算での増収企業は51.6%で9.2ポイント低下、減収企業の割合は31.9%で、5.5ポイントの上昇となった。神奈川県内のTier1だけを見ても、増収企業の割合は11.3ポイント 低下し、減収企業の割合は6.3ポイント上昇するなど、神奈川県では日産の業績悪化の影響を受けている企業の割合が全国に比べ高くなっている。
サプライチェーン企業の業種は多岐にわたり、Tier1、Tier2ともに「受託開発ソフトウェア業」がトップとなり、構成比はTier1が5.3%、Tier2が4.3%だった。次いで「自動車部分品・付属品製造業」が多く、Tier3以降では、「一般貨物自動車運送業」が最も多かった。
都道府県別にみると、東京都が3088社で最も多く、16.6%を占めた。次いで愛知県の2151社(同11.5%)、地元の神奈川県は2022社(10.9%)だった。
同社は「今後、車両生産工場の再編と効率化、開発プロセスの刷新など経営再建に向けた動きが本格化していくなか、サプライチェーン再構築の影響を受ける事業者がでてくることが想定される。サプライヤー各社の生き残りをかけた戦略転換、成長機会の創出も求められる」などとしている。
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