ロジスティクス物流現場でドライバー不足が課題となる中、運行管理や稼働率向上にAIを活用する動きが広がりつつある。ドライバーテクノロジーズ(東京都港区)は、物流現場の人材に特化したマッチングプラットフォームを展開。AIとDXで車両と人材を効率的につなぎ、物流・輸送の課題解決に取り組んでいる。建設や製造など他業種への展開も進める同社が目指すのは、東証グロース市場への上場だ。
急成長するAIマッチング事業
同社は2021年、LINEヤフーグループとイーストベンチャーズの共同出資で誕生した。スタートアップの機動力と大手企業からの支援を組み合わせ、2022年1月から物流・輸送事業者向けにサービスを本格展開した。AIを活用したマッチングにより、保有車両の稼働率向上に貢献している。
ドライバーの高齢化や労働条件の見直しで人員確保が課題となる物流業界。同社はサービス対象をドライバーから倉庫作業員や建設現場まで広げ、業界ニーズに対応した。業務のデジタル化と人材確保は物流業界の重要課題となっている。手作業や個人的なネットワークに頼る従来の運用から、IT活用による効率化は必須だ。
同社は企業とドライバーのマッチングだけでなく、稼働管理や運行最適化までAIでサポート。2023年の増資以降、アルゴリズムの精度向上に力を入れている。
新たな資金調達と経営方針
今月、同社はシリーズAラウンドで5.5億円を調達。累計調達額は7億円に達する。ヤフー元社長の小澤隆生氏が率いるブーストキャピタル、山陰合同銀行とSkyland Ventures共同のファンド、京都フィナンシャルグループ傘下の京都キャピタルパートナーズなどが新株主となった。
地銀グループとの資本関係により、物流以外の分野での協業も視野に入る。調達資金は組織拡大とAI開発に充て、導入企業の拡大とマッチング精度向上を図る。
川島康平社長(CEO)は上場を明確な目標に掲げ、東証グロース市場への準備を進めている。吉岡武流副社長は「基本を徹底する『凡事徹底』が差別化につながる」と強調。丹生花凜執行役員は「地道な積み重ねが成長の鍵」と語る。業界再編の動きが加速する中、同社幹部は「2026年までの上場」を念頭に置く。
物流業界の課題と未来
物流業界では2024年問題に象徴される時間外労働制限や、EC(電子商取引)需要拡大による荷量増加など課題が山積。人材と仕事を効率的にマッチングするプラットフォーム需要は高まる一方だ。
ドライバーテクノロジーズのサービスはドライバーやフォークリフトオペレーターなどの資格保有者から倉庫内作業員まで広範囲に対応。物流だけでなく建設、インフラなど幅広い分野への拡大も視野に入れる。人手不足と効率化ニーズが高まる中、同社のマッチングプラットフォームは全国に広がりつつある。上場を見据える同社の今後の展開は、ドライバー不足に悩む物流業界から注目されそうだ。

(左から)取締役副社長 執行役員の吉岡 武流氏、代表取締役社長 執行役員CEOの川島 康平氏・執行役員 VP of Matching Operationの丹生 花凜氏
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