ロジスティクスサントリーロジスティクス(横浜市緑区)は25日、マスコミ各社を招き、物流取り組み説明会と長津田配送センター見学会を実施した。会では同センターに自動搬送ラックの導入を発表、トラックの滞留時間を年間2000時間削減する効果を報告した。

▲「長津田配送センター」に導入された自動搬送ラックの全景

▲上下搬送機を見守る見学者たち
同センターは2015年1月に開設した、延べ1万坪の3層構造を持つ物流拠点。神奈川県、静岡県、山梨県を配送エリアとし、サントリーの出荷倉庫の中で最大級の出荷量を誇る。年間5300万ケース、1日平均8万ケースを取り扱う。作業員60人が従事する。フォークリフト68台と17バースを備えている。
これまで同センターでは、サントリーグループの飲料製品の全出荷量のうち3割がピッキング作業を要した。ピッキング後のパレットを置く仮置き場の不足していた。120メートルの搬送距離による積み込み作業のタイムロスが課題だった。同センターでは導入前で1時間30分、そのうち、積み込みに50分を要していた。
この課題を解決するため、同社は豊田自動織機トヨタL&Fカンパニーと共同設計した自動搬送ラック2基を25年2月に設置。4月から本格稼働を開始した。自動搬送ラックは9列3段の27間口を備え、ピッキング製品の自動保管・搬送システムを可能にした。まずピッキングしたパレットをコンベヤーに投入すると、二次元コードで管理された各パレットをスタッカークレーン(上下搬送機)が自動で指定の間口へ搬送する。トラック到着後は、作業者用モニターにパレットの格納間口や積み込み枚数を表示し、全27間口から効率的に取り出せる。

▲ピッキングしたパレットをコンベヤーに乗せ、自動搬送ラックへと送る

▲9列3段ある全間口から取り出しが可能
この導入により、仮置き場の保管能力が400枚分(2倍)に向上した。ピッキング後のパレット保管の余裕度が大幅に改善した。自動搬送機能により、搬送などのピッキング作業にかかる工数を1割削減できた。さらに、出荷の準備作業が効率化し、トラックへの積み込みの所要時間を3割削減することに成功した。これらの改善により、トラックの滞留時間を年間2000時間削減できた。
取り組みは国土交通省による「物流施設におけるDX推進実証事業費補助金」の認定、支援を受けて実証している。同社は「物流2024年問題」への対応として、24年4月からのトラックドライバーの労働時間規制強化に備える。同社はのこのままドライバー人口が減少を続けると、30年には23%減少すると試算する。自動搬送ラックの導入を、こうした人手不足や労働時間規制への対応策の一環として位置付けた。
この日、会に登壇した同社会長の武藤多賀志氏は「24年問題解決のため、私たちは23年の春から自動搬送ラックの導入のためのプロジェクトを立ち上げ、トラックの滞留時間の削減、省人化に取り組んできた。ドライバーの待遇に改善に向けて、これからも対策を講じていきたい」と語った。

▲自動搬送ラック導入の意義を説明する武藤多賀志会長(左)
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