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堺市と大阪府立大、ベトナムで海上輸送廃棄物循環システムを構築

2013年11月20日 (水)

話題大阪府堺市と大阪府立大学は20日、共同でベトナムのハロン湾で海上輸送を基盤とする廃棄物循環システムの構築事業を実施すると発表した。実施期間は今月から3年後の2016年9月まで。

国際協力機構(JICA)の「草の根技術協力事業」(地域経済活性化特別枠)に採択されたことを受け、同大学が持つ技術力・人材育成力を活用し、堺市が連携して国際貢献活動を行うとともに、成果を国内へ還元する目的。

事業では循環システムを構築し、将来的には世界遺産のハロン湾の環境保全、水上村の生活環境の向上、環境配慮型の海上輸送システムをアピールポイントとする「エコツーリズム」への発展を目指す。

具体的には、ハロン湾の水上村から出される廃棄物を有効利用するためのBDF(バイオディーゼル燃料)を使用した海上収集・運搬システム(廃棄物海上輸送システム)を構築し、BDF原料樹種の炭鉱跡地への植林に着目した環境教育・啓発活動を実施する。

大阪府立大学は、地球環境センターとともに、ハロン湾管理局、婦人ユニオン、青年ユニオンと共同で09年10月から12年9月までの3年間、JICA草の根技術協力事業(草の根パートナー型)「ベトナム国ハロン湾での住民参加型資源循環システム構築支援事業」を実施し、水上村での生ゴミ、練炭灰の分別収集、生ゴミのコンポスト化、厨房排水、洗濯排水の減量化、小学校での環境教育、観光船業者の廃棄物、排水減量化のための食材陸上前処理の普及、住民参加型マングローブ植林活動——などを行った。

同大学はプロジェクトの中間段階で、すべての水上村から出る生ゴミや練炭灰を有効利用する手段としてゴミ運搬船を整備し、生ゴミ、練炭灰を陸上のコンポスト工場やセメント工場で再資源化することを提案したが、実際にはゴミ運搬船の建造、廃棄物の効率的な管理運搬手法の確立、運用する組織やファンドの整備などの課題を解決できず、プロジェクト内に実現するまでには至らなかった。

一方、同大学は11年11月から16年10月までの5年間のプロジェクトとして、ハノイのべトナム国立大学(VNU)と協同で、地球規模課題対応国際科学技術協力事業「ベトナム、インドシナ諸国での、バイオマスエネルギーの生産システム(植林・製造・利用)構築による多益性気候変動緩和策の研究」を実施。

ベトナム北部のハノイ、ハロン、中部のカンチー、南部のチャンバン、ホーチミンの5か所をモデル地区として、それぞれのバイオディーゼル燃料(BDF)生産・利用シナリオに従った現地実験や観測・調査、評価モデルの作成などを進めている。

ハロン地区では、露天掘りの炭鉱跡地へBDF原料樹種を植林し、それから生産されるBDFを観光船の燃料として使用するというシナリオを検討。

炭鉱跡地に植林された植物からBDFを生産し、生産されたBDFをハロン湾の観光船とともにゴミ運搬船の燃料として利用するもので、この資源循環システムが確立されれば、これらの課題が同時に解決でき、水上村の生活環境が向上するとともに、BDFの普及によるハロン湾の環境保全を図ることができる、としている。