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衣浦港、航空機類輸出が過去最高、名古屋税関調べ

2013年11月21日 (木)

話題名古屋税関は21日、愛知県「衣浦港」で2012年の航空機類輸出が過去最高になったと発表した。同港では近年、航空機類の輸出が伸びており、11年12月に始まった「アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区」の影響で関連産業の集積が進みつつあるためだとみられる。

航空機類の輸出額を港別で比較すると、12年で衣浦港は382億円で、名古屋港の1636億円に次いで全国2位。伸び率で見ると、名古屋港と衣浦港はともに伸びているが、特に衣浦港の伸びが顕著となっている。

衣浦港での航空機類の輸出は93年から本格的になり、一時的に減少したものの、基本的に右肩上がりで推移をしている。12年では金額が過去最高となるとともに、衣浦港の輸出総額に占める割合が23.2%となり、99年を超え過去最高となった。

衣浦港は名古屋港と三河港の中間に位置し、両港まで50キロ圏内、中部国際空港まで15キロ圏内、京浜港、阪神港へはそれぞれ300キロ圏内、200キロ圏内となっており、日本の2大都市のほぼ中央に位置する港といえる。

かつて「衣ヶ浦」と呼ばれたこの地域は、江戸時代には醸造業や三州瓦などの地場産業とともに賑わい、明治になって経済活動の活発化や鉄道の敷設とともに成長を遂げ、1899年(明治32年)に清水港・四日市港とともに、衣ヶ浦一帯と合わせて開港場に指定された武豊港は、工場の進出による工業化と整備が進み、1957年(昭和32年)に湾内の半田・新川・平坂・高浜・亀崎・刈谷、大浜港を統合、県内では名古屋港に次いで2番目の重要港湾に指定され、「衣浦港」と改称された。

衣浦港の貿易額は83年以降、輸出額が輸入額よりも下回る輸入超過の状況が続いており、00年以降はリーマン・ショックで一度落ち込んだものの、輸出入ともに増加傾向となっており、順調に成長している。

12年の輸出額は1645億円と、データで比較できる統計が残る中では過去5番目、輸入額は2158億円と、同じく過去4番目の水準となった。08年の輸入額が飛び抜けて高い理由は、主要輸入品目1位であった、石炭の単価の上昇が影響していたと推測される。数量は07年の実績に対し+8.6%だったが、金額は+79%と大きく伸びていた。

また、主要輸入品目2位の液化石油ガスも数量で+9.8%、金額で+35.5%と大きく単価が上昇したことも影響していたとみられる。

衣浦港で主に取り扱われる輸出品目は「鉄鋼」で、80年代には輸出額の9割超が鉄鋼だったことがあるものの、その後シェアが減少、12年実績では61.3%となっているが、現在も同港の主要品目1位を維持し続けている。主要品目2位は「航空機類」で、本格的に輸出が始まった93年以降、上位4位以内を維持し、12年には382億円となり過去最高を記録した。

鉄鋼の仕向国は、アジア諸国向けが多い全国や名古屋港に対し、米国向けが多いのが衣浦港の特色となっている。米国のシェールガス採掘などに使われる鋼管、現場の環境を考慮し、きめ細かい要望に対応する日本製の高品質な製品が、衣浦港近隣で生産されていることに起因しているとみられる。また、アジアでもガスや石油の採掘用鋼管の需要は高まっており、今後衣浦港からの鋼管の輸出は伸びていくとみられている。

管、管用継手の輸出額でみると、衣浦港の923億円は、和歌山港の1872億円に次ぐ全国2位の実績がある。