調査・データ米トランプ政権による自動車関税の発動など、自動車業界を取り巻く環境が厳しくなるなか、帝国データバンク(TDB)は14日、「自動車業界」サプライチェーン動向調査の結果を公表した。サプライチェーン企業は全国に1万9084社あり、7割が売り上げ10億円未満の中小企業だった。メーカーと直接取引を行う「Tier1」と3次下請けの「Tier3」の間の業績の格差が広がっており、売上高営業利益率の平均はTier1が2.8%なのに対し、Tier3は0.6%と4.7倍の差となった。
レポートによると、2024年12月時点の国内自動車メーカー10社のサプライチェーン企業数は6万8338社で、メーカー別にみると、トヨタ自動車が最も多く4万800社、本田技研工業(ホンダ)が2万2611社、日産自動車が1万9016社と続いた。
売上規模別に企業数をみると、「1ー10億円未満」が過半数を占め、全体の76.4%が「10億円未満」だった。Tier別にみると、Tier1は「10億円未満」の企業は49.8%だったのに対し、2次下請けのTier2は76.6%、Tier3以降は88.1%とTier階層が下位になるほど小規模企業が多かった。
業種別にみると、Tier1は「受託開発ソフトウェア業」が402社で最多となった。18年時点と比較すると、Tier1のトップ業種は「自動車部分品・付属品製造業」から「受託開発ソフトウェア業」へ交代した。以下、「その他の事業サービス業」269社、「自動車部分品・付属品製造業」267社、「電気機械器具卸売業」235社が続いた。
Tier2は、「一般貨物自動車運送業」が2230社で最も多く、「受託開発ソフトウェア業」1784社、「金型・同部分品・付属品製造業」1001社が上位を占めた。Tier3以降でも、「一般貨物自動車運送業」が1472社で最多となり、「受託開発ソフトウェア業」482社、「金型・同部分品・付属品製造業」455社が続いた。
製造業の本業の儲けを表す売上高営業利益率の平均は1.4%で、製造業全体の平均1.8%より0.4ポイント低かった。Tier別ではTier1が2.8%、Tier2は1.3%、Tier3は0.6%だった。完成車メーカー10社それぞれのサプライチェーンで同様の傾向がみられ、Tier3の営業利益率の平均がマイナスとなるメーカーも複数あった。
コロナ禍前の18年は全体が3.7%、Tier1が4.3%、Tier2は3.7%、Tier3は3.4%で、コロナ禍からの業績回復が進んでいない。特にTier1とTier3の差は18年の1.3倍から24年は4.7倍と、大きく広がった。
同社は「Tierの階層が下がるほど受け身の価格設定を強いられ、コスト上昇分の価格転嫁が進まない企業は悪循環に陥る可能性が高い。より多くの企業・人材・技術を生かす道を模索するためにも、官民での連携した取り組みが求められる」としている。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。