財務・人事ゼロは26日、2025年6月期の決算説明会を開催した。前期(25年6月期)に過去最高となる102億円の営業利益を達成した同社だが、高橋俊博社長は、今期(26年6月期)を「さらなる成長を実現するゼログループとなるためのチャレンジの年」と位置づけた。高橋社長は「我々の祖業である車両輸送事業をもっともっと強くしたい」と語り、人やデジタルシステムへの戦略的な先行投資を実行しつつ、前期を上回る103億円の営業利益を目指す計画を明らかにした。

▲ゼロの高橋俊博社長
高橋社長が今期の最重要課題の一つとして挙げたのが、物流現場の非効率の解消だ。特に中古車輸送では、広大なオークション会場で目当ての車両を探し出すのに時間がかかったり、港に車両を運んでもヤードが満杯で引き返したりする「ものすごい無駄」が頻発しているという。
高橋社長は、「どうしたら無駄なく物が流れるんだろう、どうしたら物流になるんだろうということを今一生懸命考えている」と述べ、この課題解決のためにシステム投資を加速させる方針を示した。受注から配車、車両の位置情報の確認までを一元管理するシステムを導入することで、現場の連携を密にし、物流を円滑化する。この業務効率化と、それによって生まれる新たな輸送キャパシティが、将来的に安定的な利益をもたらす原動力となる。
「チャレンジングな年」と高橋社長が語る今期には、このほかにも戦略的投資を行う。これは、未来の成長基盤を築くための積極的な投資だ。
投資の柱の一つが「人」だ。ドライバーのなり手が少ない中で輸送力を確保するため、従業員の給与改定や新たな給与体系を導入した。また、採用窓口をグループ会社のジャパンリリーフに一元化し、外国人やシニア、女性を含めた多様な人材確保にも乗り出す。高橋社長は、「2024年問題への対応として、乗務員には運転に特化してもらい、積み込み車両の移動などの付帯作業は別のスタッフが担う役割分担を進める。そのための費用はかかるが、引き続き輸送需要は大きいので1台でも多く運ぶ方が良い」と語り、人への投資が輸送力と収益の向上に直結するとの考えを示した。
もう一つの柱は「パートナー企業との関係強化」だ。全国81社の協力会社ネットワークが同社の強みであり、前期の料金改定で得た原資は、パートナー企業の体力維持のために還元したという。今期も協力会社への支払い単価見直しなどを通じて関係を強化し、持続可能な全国輸送網を共に築き上げていく。
説明会では、同社会長で日本陸送協会の会長も務める北村竹朗氏が、業界全体の視点から説明を加えた。北村会長は、自動車メーカー系列の輸送会社間の「陣取り合戦」のような競争が、空荷での回送など「業界全体での多くの無駄」を生んでいると指摘。協会としてメーカーの垣根を越えた共同輸送などを働きかけ、業界全体の非効率を解消する活動を通じて、健全な成長を目指す考えを示した。
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