調査・データ矢野経済研究所(東京都中野区)は8日、25年の定置用蓄電池(ESS)に関する世界市場調査レポートを発表した。
再生可能エネルギーの導入が拡大するなか、その発電設備にESSを併設することで電力出力の平準化や最大負荷の管理が可能となり、電力品質の向上、エネルギー利用効率の改善が期待されている。また再エネで発電された電力をESSに蓄電し、電力需要のピーク時間帯に活用することで、発電所や送配電インフラの利用率向上にも寄与している。さらに電力網の老朽化や自然災害時の停電リスクへの対応としても、分散型電源としてのESS導入が進展し、電力安定供給への関心が高まっている。
同レポートによると、24年のESS世界市場規模はメーカー出荷容量ベースで29万3992メガワット時であったと推計されている。主要国で太陽光発電や風力発電といった再エネ発電設備の導入が拡大したことに加え、各国政府によるESS導入を促進する政策・支援制度の強化、電力価格の高騰を背景とした自家発電・自家消費需要の増加が重なり、市場は大幅な成長を示している。
25年もESSの導入は引き続き増加傾向にあり、用途別にみると電力系統関連、企業・業務用ESSが北米・中国・欧州を中心に需要をけん引している。米国では、再エネ導入が進むカリフォルニア州やテキサス州、ネバダ州などで、大規模な電力系統関連ESSの導入が急速に進展。欧州では、ドイツやイタリア、フランス、英国の4か国が主要導入国として市場成長をけん引していく見通し。一方、家庭用ESS市場については、戸建て住宅中心の居住形態が多く、かつ電気料金が比較的高い欧州、北米、日本、豪州などの地域で、太陽光発電システムとの併用による導入が増加している。
25年のESS世界市場規模は前年比27.9%増の37万6108メガワット時に達する見込み。なお設置先(需要分野)別では、電力系統関連ESSがメーカー出荷容量ベースで33万1403メガワット時と全体の80%以上を占め、最も大きな比率になると見込まれている。
今後は、カーボンニュートラルの実現に向け、各国の再エネ発電設備導入が今後ますます加速する見通しで、電力品質の安定化や余剰電力の有効活用に向けて、引き続きESSの導入が増加するものと予測。33年のESS世界市場規模は、メーカー出荷容量ベースで73万5473メガワット時に達するものと予測されている。
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