サービス・商品プロセスマイニング技術を使った業務改善システムを開発するドイツのセロニスは10日、キリンホールディングスが、セロニスのシステムを導入して調達・購買業務や督促業務の効率化を図り、年間160人日の工数削減を達成したとして、同社のホームページに導入事例を掲載した。
プロセスマイニングは、企業などの業務活動のログデータを分析、業務プロセスを可視化することで現状を把握し、課題解決を図る業務改善手法で、2010年頃にドイツなどで理論や手法が考案された。同社は同理論の実用化を目指して設立された草分け的存在で、同社のシステムは世界数千社に採用されている。
キリングループ全体の調達・購買業務を担うキリンHDの調達部では、調達システムの導入などで、月2万件となる取り引き業務の効率化を図っていたが、請求書登録や承認などの検収処理が滞留しがちで課題となっていた。また、支払いの遅延で下請法に抵触しないよう、全取引のステータスを確認し、取引先や社内担当者に対し督促も行っていたが、督促業務に用いていた自社開発システムは使い勝手が悪く、専門知識のある一部メンバーしか維持管理ができないといった課題があった。
こうしたことから、業務の自動化や効率化をさらに進め、担当者の負担を軽減するため、プロセスマイニングシステムの導入を検討。業務改革のサポートを受けていたコンサルティング会社の推薦もあって、キリンHDは同社のシステムの導入を昨年10月に決定。要件定義から開発・テストまでを2か月という短期間で完了させ、ことし1月から本番稼働した。
これによって、従来の独自システムでは実現できなかった「サプライヤーへの発注未受領・請求書登録のリマインド」「社内発注者への承認リマインド」「異常値や承認者の検知」といった機能が実装され、業務の自動化と精度向上に大きく貢献した。その結果、属人化されていた一部の業務が解消したほか、データ加工から督促の自動送信までを一つのシステムに統一したことで、業務の持続性が大幅に向上した。導入から半年間のモニタリングで、年間160人日程度の工数削減を達成するという定量的な効果も確認された。業務の滞留やミスも減少し、調達部の業務がスムーズに進むようになったと社内で高く評価されている。
キリンHDは今後、調達部での活用にとどまらず、将来的には適用範囲を営業・生産・財務など他部門へ拡大することを検討している。ほかの業務システムとプロセスマイニングシステムを連携させ、グループ全体の継続的な業務プロセス改善を推進していくとしている。
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