調査・データ矢野経済研究所(東京都中野区)は23日、ことしの無人搬送車(AGV)と自律走行搬送ロボット(AMR)の世界での出荷台数は、前年比17.7%増の28万6235台の見込みだとするレポートを公表した。物流自動化の流れは中堅・中小企業にも広がり、30年の世界での出荷台数は138万1088台になると予測した。
世界各国で自動車や半導体関連の製造業への設備投資が拡大するなか、少子高齢化による人手不足や人件費上昇に対応し、作業の安全性と効率性の向上を図るため、工場などでのAGVやAMRの導入が増加している。さらにカーボンニュートラルやESGに対する投資が重視され、フォークリフトも電動式の採用が進むなど、産業現場の自動化や環境対応はトレンドとなっており、世界各国で物流自動化が進展している。
導入業界別に需要動向をみると、製造業では安全面などからAMRよりもAGVが選ばれ、標準品よりもカスタマイズへのニーズが高い。食品工場などでは冷凍冷蔵庫仕様や防水仕様、半導体メーカーではクリーンルーム仕様、自動車工場などでは重量物対応仕様やマルチ誘導方式、屋外仕様などのニーズが増えている。一方、物流業ではパレットや棚の配置が変わるなど走行環境の変化が大きいことから、フレキシブルに活用可能なAMRが好まれている。
業種別の市場シェアは製造業が80%、物流業が20%程度を占めると推計される。このためメーカーの大半は、製造業を主要ターゲットとして製品・サービスを提供している。製造業においては、主に資金力のある大手や中堅規模の自動車関連業界やエレクトロニクス業界を中心に導入が進んでいる。一方、物流業では、EC(電子商取引)企業やアパレル業界、食品業界などの物流倉庫での導入が拡大している。さらに近年、建設などのインフラ産業、空港や港湾における貨物コンテナ搬送、駐車場管理などでの活用も増えている。
特に自動化が加速しているのは、世界的に取引量が増加しているEC分野で、企業は国境を超えて物流倉庫の構築を進めている。EC企業では、消費者にできるだけ早く商品を届けるため、物流自動化による作業効率化を重視しており、AGVやAMRの需要拡大をけん引している。
同社は「同市場の拡大の背景には、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進やEC市場の成長、労働力不足への対応、カーボンニュートラルやESG投資の潮流があり、産業現場の自動化や効率化は世界的に加速する」としている。
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